二十八話 ページ31
何日もの月日が経ち、警察は捜査を打ち切り、世間もニュースも例の事件等すっかり忘れた頃。
Aは、未だ忘れられずに居た。
(兄ちゃんの前では、何も覚えてない振りしてるけど…………結構、しんどいな。)
ソファに一人横になり、虚ろな目で何処か遠くを見つめる。
最近はそれだけで、時間が過ぎて行く。
だが、帰ってきた中也に心配されないように、「遂先刻までゲエムをしてました」風の偽装工作はしてある。
そうまでして、Aは兄に心配はかけたくなかった。
ガチャリ
玄関が開いた音がし、「ただいま」という声もする。
Aは咄嗟に机に置いてあったゲエム機を手に取り、操作し始めた。
『お帰り。早かったね。』
「あァ……って、手前又ゲエムやってンのか?」
『うん。だいぶ進んだ。』
「目ェ悪くするぞ。」
そう云い乍も、Aを愛おしそうに見つめる中也。
まるで兄妹というよりは、親子だ。
「ほら、コンセント抜くぞー。」
『あああ、待って、やめてぇ!!』
慌てふためくAを見て、中也は楽しそうに笑う。
傍から見れば、平和だった。
『もう………あ、もうこんな時間か。御飯作るね。』
いそいそと台所に向かうAを見て、中也はコートと帽子を脱ぎ始めた。
この平凡な日々が、ずっと続けば良いと願いながら。
冷蔵庫から幾つかの野菜を取り出し、Aは今日の献立を考え始めた。
(この食材だけで作れる物………シンプルに野菜炒めでいっか。)
そう思い、包丁を手に取る。
込み上げてくる嫌悪感を抑え、ぐっと包丁を握る手に力を込めた。
(怖くない………大丈夫。私はもう、人なんて殺さない。)
深く深く深呼吸をして、Aは先ずキャベツの芯を取り始めた。
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桃茶(プロフ) - 詞音さん» ありがとうございます!夜中の3時…!?ちゃんと睡眠も取ってくださいね!w (2018年4月9日 7時) (レス) id: d281eb019e (このIDを非表示/違反報告)
詞音 - 面白かったです!ついつい夜中の3時後まで読んでしまいましたw 他のも見ときます! お疲れ様でした。(´∀`) (2018年4月9日 3時) (レス) id: 6b5092fe94 (このIDを非表示/違反報告)
桃茶(プロフ) - 御免なさい、三十二話とあとがきが何故か消されていて……形的にはこれで終わりです!閲覧ありがとうございました! (2018年4月3日 13時) (レス) id: d281eb019e (このIDを非表示/違反報告)
悠爽 - 終わるんですか!?とても良い作品だったのに!でも作者さんお疲れ様でした。とても素敵な作品で面白かったです!!! (2018年4月3日 13時) (レス) id: e139e0903a (このIDを非表示/違反報告)
涼(プロフ) - え・・・終わっちゃうの!?・・・・・おもしろかったです!! (2018年4月3日 12時) (レス) id: da69d52ea0 (このIDを非表示/違反報告)
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