二十四話 ページ27
「…………中原幹部。一体………」
Aが眠りについたのを確認し、芥川が尋ねる。
「…………手前らは知らなくて当然か。丁度良い、話してやる。」
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俺達が紅葉の姐さんに引き取られて、間もない頃。
俺達はポートマフィアに拾われたンだ。そりゃァ、ポートマフィアに入ることを前提で事が進ンでいた。
幼いAは人を殺すのを恐れていたが、俺は生きる為なら仕方無いと思っていた。
或る日、実際に人を殺す訓練を受けた。
簡単な任務に着いていき、俺達は普通にその任務に参加して人を殺す予定だった。
俺は普通に人を殺した。任務だからな。
ところが、問題なのはAだ。
銃を与えられたAは酷く怯えていて、まともに人を殺すなんて出来そうもなかった。
でも、遂に殺した。
だが、Aが殺した女には恋人がいたようでな。
しかも、同じ組織に属していた。
女がAに殺された事に気が付いた男は、必死で助けようとしていた。
腰の抜けたAは、銃を構える事も出来ず、逃げる事も出来ず。俺が駆け付けていなければあの男に殺されていた。
男は俺が殺したが、Aはガクガク震えながら、俺にすがりついた。
──────誰かの大切な人を殺すなんて、出来ないよ。
──────私、人殺しなんてしたくないよ。
だが、残念な事に彼奴には確かな殺しの才能があった。
磨けば光る、殺しの才能が。
紅葉の姐さんも首領も、それを見抜いていたらしい。
当時の彼奴の立ち振る舞いじゃ誰もそンなの気付かないと思うが、通常の彼奴の訓練を見ていれば、それは丸分かりだ。
身体能力………主に素早さはピカイチだ。気配を消すのも上手いし、察知するのも上手い。五感も優れている。暗殺者には持ってこいの逸材だ。
姐さん曰く、「そのうちあの子は、中也をも超える存在になっていた」ってよ。
でも、彼奴は殺しを望まなかった。
姐さんも首領も反対したが、俺も説得に加わった。
「幾ら才能があっても、それを発揮出来なきゃ意味が無い。此奴は殺しが出来ないなら、才能を発揮する事は出来ねェ。」
必死の説得のお陰で二人は納得してくれたよ。
それから彼奴は、姐さんの補助も受けてポートマフィアを抜け、代わりに情報屋というスキルを貰った。
誰からその術を会得したかは知らねェがな。
これが、彼奴が殺しをしない理由だ。
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桃茶(プロフ) - 詞音さん» ありがとうございます!夜中の3時…!?ちゃんと睡眠も取ってくださいね!w (2018年4月9日 7時) (レス) id: d281eb019e (このIDを非表示/違反報告)
詞音 - 面白かったです!ついつい夜中の3時後まで読んでしまいましたw 他のも見ときます! お疲れ様でした。(´∀`) (2018年4月9日 3時) (レス) id: 6b5092fe94 (このIDを非表示/違反報告)
桃茶(プロフ) - 御免なさい、三十二話とあとがきが何故か消されていて……形的にはこれで終わりです!閲覧ありがとうございました! (2018年4月3日 13時) (レス) id: d281eb019e (このIDを非表示/違反報告)
悠爽 - 終わるんですか!?とても良い作品だったのに!でも作者さんお疲れ様でした。とても素敵な作品で面白かったです!!! (2018年4月3日 13時) (レス) id: e139e0903a (このIDを非表示/違反報告)
涼(プロフ) - え・・・終わっちゃうの!?・・・・・おもしろかったです!! (2018年4月3日 12時) (レス) id: da69d52ea0 (このIDを非表示/違反報告)
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