参弐 大切な人 ページ33
「総悟さんこそ何してたんですか」
大切なのは、怪我をしていることじゃない。仕事柄そういうことが多いのは重々承知している。
何故単独で行動したかということ。
いきなり襲いかかられたのならば仕方ないこと。
でももし自分からだとしたらあまりに危険すぎる。
だがこの人は、多数の攘夷浪士に斬りかかられたとしてもいつも大抵は軽傷だ。怪我をこんなに負うのは、敵がよっぽど多くさらに銃を所持していたり、あるいはよっぽど強い敵と戦った時くらいなもの。
そして何より頭の回転の速い彼だからこそ、何かにいち早く気付いたのかもしれない。
「………」
おっと?沖田選手だんまりを決め込みました!
「…とりあえず上がってください。医務役の人連れて来ますから」
「いや、お前ィがいい」
一見すると女子がときめきそうな言葉だが、ときめきも糞もあったもんじゃない。
やっぱり。誰にも知られたくないのか。さっき門から入ってこないで塀を乗り越えてきたし。
こんなに冷静な感じでいるけど、本心は心臓が止まるくらいに焦ってる…
「…痛ッ!おいこら!くそ女わざとだろ!!」
「サービスですよ。大サービス」
前にしてくださったのと同じに消毒液のサービスをしてあげた。でも本当は、恥ずかしさの誤魔化しなんです…
いつも鍛えているから無駄な肉なんてないし、筋肉もあって目の前に半裸の男性がいるんだ。緊張しないわけないだろ!こちとら何年寂しくクリスマス過ごしてると思ってんだ全く…
…やっぱり背中まで薄い刀傷の跡が残っていた
彼が誰かを庇って出来た傷。助ける為に出来た傷。
いつ果てるかも分からない命で他人を守ってる。
「総悟さんは自分を大切にしなさ過ぎです。私は」
自分の言おうとした言葉にハッとし、口を紡ぐ。
「俺のことなんでィ。真選組でもねェお前ィに関係ないだろ」
今まで見た中でも特に冷たい口調と目を向けられる
あまりに不器用な自分が嫌になった。
ただ、声に出せばいいのに。1人で抱え込まないで欲しいって。でも言えなかった。
弱い自分は隣に居ても迷惑なだけだって。
でも、好きな人に生きていてほしい。そう願うのはいけないことですか…?
「私も何か力になれる事くらいあると思うんです」
「………足手纏いになるだけでさァ」
「…そうですよね」
溢れ出しそうな涙を堪え、いつものように笑って見せた。そして、私は部屋を出た。
強くなりたい。弱さを隠せるように、誰かの側にいられるように強く。
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千の歌を歌う人(プロフ) - コロさん» 有難きお言葉です!!すごく嬉しいです!頑張ります!! (2019年7月30日 0時) (レス) id: 1dfb43aa3f (このIDを非表示/違反報告)
コロ - おもしろいです!!更新忙しいかもしれないけど頑張って下さいね!! (2019年7月29日 22時) (レス) id: 21d6130453 (このIDを非表示/違反報告)
千の歌を歌う人(プロフ) - サラダ油さん» ぱっちゃんはですね、主人公が付けたあだ名です!主人公は色んなあだ名を人に付けるもので…見てくれて、物凄く嬉しい限りです!!頑張ります! (2019年7月29日 20時) (レス) id: 1dfb43aa3f (このIDを非表示/違反報告)
サラダ油 - 新八は「ぱっちゃん」じゃなくて「ぱっつぁん」と呼ばれてますよ。面白いのでこれからも頑張って下さい! (2019年7月29日 18時) (レス) id: 3eb4c4dfa2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くれの | 作成日時:2019年7月24日 22時