. 燈火 2 (ページ10)

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いつの間にか太陽は厚い雲で覆われて、空からは水滴が降ってくる
重たい身体を引き摺り回して走ってきた
見渡してみるとあまり見ない場所に迷い込んでいるようで…
恐らくいつも行かない隣町の方に来てしまっているようだった

「どうしよ…」

どんどんと雨は降りしきる一方で、俺の体温を奪っていく
携帯もなく財布もない、当てになる奴もいない
雨を凌ぐ場所とあたりを見渡すと、誰にも見つからないようなひっそりとした裏路地があった
隣の店から屋根が大きく伸びており、雨が凌げそうだった

そのまま座り込んで、膝に顔を埋める
頭を冷静にして考えてみるけど、どれだけ考えてみても自分が駄目だと分かっているのに、謝らないといけないはずなのに…
結局頭がぐるぐると巡りに巡って自分に沸々と怒りが湧き上がってくる
このやり場の無い憤りを逃がす場所がなく、ただただこの言葉にできない感情と戦うしか無かった

「ぇ、薮くん？！」

どれほど時間が経ったのか分からない
長い時間が経ったような気もするし、それほど経っていないような気もする
顔を上げると、見覚えのある彼の姿があった

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「光くん、心配していろんな所に連絡しまくってたよ」

「……、ごめん」

「俺じゃなくて…光くんに言ってあげて？」

髙木雄也
グループ内で俺に次いでの年齢が上である彼
昔と比べて尖った角が丸くなって、今ではグループイチグループ好きと呼び声の高い

雄也によると、光は何も持たず家を出た俺を探す為に少ない知り合いに連絡しまくっていたらしい

それでも、光も雄也も無理に理由を聞いてくるでもなく、光は電話越しに心配したと泣いて怒ってくるだけだし、髙木も何も言わずにコーヒーを入れてくれるだけだった

「今日はもう遅いから泊まって行って」

「……ありがと、」

いつの間にか見ない間にお腹が膨らんできたね、と嬉しそうに俺の腹を擦る
あ！今蹴ったよね！と嬉しそうに俺に呼びかけた
それでも刹那、彼が伏し目がちに悲しそうな顔をしたのを俺は見逃さなかった

誰にだって言いたくないことくらいある
今の俺だって、そうなのだから

「何気に雄也の家、初めてだったりして」

「そうかもしれない
いつも薮くんの家だったしね
お風呂は向こうだから、着替えはこれで…
多分合うと思うんだけど…分かんないや、妊婦さん」

そう言って持ってきたのはダボTと呼ばれるようなパジャマに、ズボンだった

このパジャマって、マタニティーグッズ、、？