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「一年ぶりのその名前に懐かしさを覚えました。
この箱の蓋に『フーゴです。開けてください』って。
今思えば違和感がありました。
けど私はその時懐かしさが勝ち思わず箱を持ったまま部屋に戻ったんです」
...本当に変わらないなこの人は。
「ケーキを冷蔵庫から出してアトリエに向かいそのまま休憩がてら見てみようと箱を開けました。
__...中にはスタンドがいました
美しい女性の形をした煙でした。
そして言いました。
『よくも色目を使ってくれたわね!
許さない、許さないわっ!
永遠とこの世で眠り続けるがいい』って。
煙は絵を切り裂き暴れ倒した後突然私の頭をつかみ煙を顔に吹きかけました。
そしてそのまま玄関へ消えていき...そこから記憶がありません」
「煙のくせに律儀に玄関から出ていったのかよ」
そこじゃあないだろと思わず心で突っ込む。
「髪は腰までの緩やかなウェーブで、瞳は大きなアーモンド型。すみません、これしか...」
「充分です。ありがとうございます」
そのままジョジョは考え込んだ。
重い沈黙が部屋に落ちる。
夏の西日が差し込み始めた頃、ようやく口を開いた。
「_...彼らに来てもらおう」
「何...っ!?」
「そして父親の前で吐かせる、娘がどんな人間かをね。
組織のメンバーにも影響が出ているんだ、意地でもスタンドを解いてもらいましょう。
仲良くするつもりでしたが...まぁいいでしょう仕方が無い」
「おいおい仕様が無いって...」
肩に手を置きその先を言うなと目で言葉を送る。
わかっているんだそれはジョジョにだって。
だがジョジョは怒っている、組織の人間があの下衆な尻軽女に人生を破壊された事を。
「今すぐに呼びます。
...失礼」
そのまま電話を片手に部屋を後にしたジョジョを見送る。
ミスタも後はなんとかしろと耳打ちをし部屋から出て行った。
...二人きりで何を話せばいいのか、いやどんな顔をしていればいいのかわからず彼女に背を向けたまま俯く。
「...久しぶりだねフーゴ」
「っ!あぁ」
「こっち来て話をしようよ。
私会えて凄く嬉しいんだよ」
思わず振り返ればあの夏の日と同じ柔らかな笑みを浮かべていた。
手招きされるままに彼女の横に腰掛ける。
「...巻き込むつもりは無かったんだ、すまない」
「フーゴって相変わらず優しいね」
その言葉にはっと息が詰まった。
反射的に顔をあげれば何故だか微かに潤んだ瞳と目が合った。
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鈴鶴@メガネ=本体(プロフ) - さくらんぼ&チェリーさん» そんなッ!あなたがッ!!大好きですッ!!!(告白)ありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです! (2019年8月25日 16時) (レス) id: 022f546ed4 (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ&チェリー - もう!本当に!!どうしてこんなに素敵なお話が書けるんですか!?好きです!(テンション) (2019年8月25日 9時) (レス) id: ced51d468f (このIDを非表示/違反報告)
鈴鶴@メガネ=本体(プロフ) - さくらんぼさん» 読んでいただきありがとうございます!是非ごゆっくりしていってください! (2019年8月22日 20時) (レス) id: 022f546ed4 (このIDを非表示/違反報告)
鈴鶴@メガネ=本体(プロフ) - 暇を持て余した夢女さん» とっても素敵な表現ありがとうございます...!こちらこそ幸せです!また機会がございましたらその時はよろしくお願いします! (2019年8月22日 20時) (レス) id: 022f546ed4 (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ - 次から次へと呼んでしまいます。気づいたら1時間ぐらい経ってました。 (2019年8月22日 15時) (レス) id: 5e7806b95a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鈴鶴@メガネ=本体 | 作成日時:2019年8月4日 19時