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無機質な音と薬品の匂い。目を開けると光に目が眩んで、白い天井が見えた。起き上がろうと手を動かそうとして、上手いこと動かん腕。
｢…！おい！チーノが目ぇ覚ましたぞ！！｣
｢大丈夫かチーノ！｣
トントンと大先生の声が聞こえる。ふわふわとした意識に頭が上手く働かへん。
｢ここはどこなん、｣
｢病院やで、お前交通事故にあってずっと寝とったんや。起きんのやったらゆっくり起きや｣
大先生は俺の腰に手を回しゆっくり起こしてくれた。
いつも見てた景色はこんなんやったっけ。
…違う、そうや俺は迷子でエミリーで、メアリーに助けて貰って。一緒に過ごしとったんや。あの日が昇らん、星の降る世界で、羊たちと。
｢…メアリー、メアリーは？｣
｢メアリー？誰？トントン知っとお？｣
｢いや、まったく｣
｢おれ、アイツに会いに行かなあかんねん！！！｣
すぐさまベッドから飛び降りようとすると大先生に止められた。俺は早くあいつを探しに行かなあかんのに、今も1人でおるやろうメアリーを。
｢待て待てチーノ！一旦落ち着け！！｣
｢いやや！離してくれ！！｣
｢あかんて！急にそんな動いたら！今まで寝とったんやで！？そもそもメアリーって誰なん！！｣
なんか涙出てきた、情けないな俺。
俺を宥めるトントンと大先生に少し苛立ちを覚え始める。何も知らん2人には当然の反応や、１回落ち着かな。俺も迷惑かけてるんはわかってるから。
呼吸を整えジタバタ暴れていたのをやめて。まずはわかってもらうためにトントンと大先生を説得することに決めた。
｢メアリーは、｣
あれ？
｢メアリーって、誰やろ｣
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作者名：ねこ | 作成日時：2021年5月4日 0時
