3 出会い ページ3
耳にイヤホンをはめ、音楽を再生する。
あっという間に耳に流れ込み、聴く者全てを魅了させる歌声が響いた。
七海芽郁はどんなジャンルの歌でも歌いこなす天才だ。
”君に振り向いて欲しいなんて、そんなの無理だって
切ない恋愛ソングも、
”君を虹の向こうに連れて行くよ”
温かい励ましソングも、全て。
たった一つの声で全てのジャンルを歌っているのだ。
そしてさらに素晴らしいのが、彼女の歌には全てストーリーがあるということ。そのストーリーは心に訴えかけるものがあるということ。
寂しい歌は心がきゅっと苦しくなるし、明るい歌は楽しくなる。
そんな彼女の歌は、いつでもAの心に寄り添ってくれた。
芽郁の歌は、Aにとってかけがえのない存在だ。
数曲聴いたAは、ぼんやりとしたまま立ち上がった。
「勉強しなきゃ」
小さく呟いて机の前に座ってから、はっとした。
何やってるんだろ。私がこんな生活をしてるのは、色んなことから逃げたくなったからじゃない。
なのに、なんでまだ勉強なんてしてるのかな。
勉強癖が取れない自分に嫌気がさし、ため息を吐くA。
今日で何回目のため息だろう。
Aはため息を吐くしかできない自分が更に嫌になった。
(こんなんじゃ駄目だな)
Aは閉じたスマホを再び開いて、検索を開始した。
”小説 書く 無料”
(私も小説、書いてみようかな)
自分も芽郁の曲のようなストーリーを作ってみたい。そんな欲求から生まれた考えだった。
そうそう簡単に見つかるものではないと思っていたが、こういう時に限り案外すぐに見つかるものだ。
「”小説展示館”・・・?(※実際に存在するものではありません。)」
それは、Aのような小説を書いてみたいと思う人たちの願いを叶えるという、インストール無料のアプリだった。
早速インストールし、アカウントを作成していく。
(ペンネームはAでいいかな)
小さい頃、今は離れ離れになった友人に呼ばれていたあだ名をペンネームとして設定し、利用を開始した。
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リアナ-璃亜那-(プロフ) - レミードールさん» ありがとうございます!違和感のある文章等ありましたら遠慮なく言ってくださいね! (2021年9月21日 15時) (レス) id: 6afe7efa1d (このIDを非表示/違反報告)
レミードール - とっっっってもおもしろいです! (2021年9月21日 15時) (レス) id: 2c7b3635e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リアナ-璃亜那- | 作成日時:2021年7月24日 12時