１８ あの子のため ページ18
母親Side
私は、小さい頃から勉強ができなかった。
成績はいつも下から数えたほうが圧倒的に早いくらいで、どんなに頑張っても順位は伸びない。
そして、大人になっても学力のせいで差別し続けられた。
学力だけで人を判断する会社ばかりで、私自身なんて誰も見てくれなくて。
その頃は、どうして中身を見てくれないんだと思っては悔しんだ。
だけど今となっては、その理由が分かる。
会社は、多少性格が悪かったりしても、自分の会社をうまく運営するのに役立つ人材がほしいのだ。
世間には、中身を重視してくれる会社だってあるのだろう。
ただ私は、その会社には当たらなかった。
だから、娘に同じ苦労を味合わせたくなかったのだ。
それは夫も同じ考えだった。
そして私達は生まれた娘に必死で教育を受けさせた。
全ては、可愛い可愛い我が子のため。
それなのに、いつから間違っていたのだろう。
娘は引きこもるようになった。
声をかけても、廃人のようになった娘が反応することはなかった。
一体何が間違っていたのか、一体どうすればいいのか、私にも夫にもわからなかった。
そんなある日私が出会ったのは、”小説展示館”というアプリ。
アマチュアたちが各々で作った小説を載せるというそのアプリで、私はある作者に出会った。
名前は、A。
全ての人の心を掴む圧倒的な文章構成と、続きが予想できないストーリー性にすっかり虜になった私は、作者に会うべく”小説展示館”のイベントへ向かった。
”A”
そのプレートは、娘と同じくらいの年齢の少女を指していた。
よく見れば、顔もそっくりだ。
でも娘はメイクなどしたことがないし、彼女が今着ているような服だって持っていない。
それに、Aは娘と決定的に違うところがある。
そう感じた私はAが自分の娘であるという僅かな可能性を否定し、彼女の前に並ぶ列の最後尾に並んだ。
Aが娘と全く違ったところ。
それは、「笑顔」だ。
娘は、Aのような笑顔を見せたことがなかった。
考えてみれば、もう何年も娘の笑顔を見ていない。
そこまで思った時、ふと私は閃いた。
(うちの子は、Aの小説のグレた少年と同じなんじゃないだろうか)
娘と、話さなければ。
Aと、もう一度。
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リアナ-璃亜那-(プロフ) - レミードールさん» ありがとうございます！違和感のある文章等ありましたら遠慮なく言ってくださいね！ (2021年9月21日 15時) (
レス) id: 6afe7efa1d (このIDを非表示/違反報告)
レミードール - とっっっってもおもしろいです！ (2021年9月21日 15時) (レス) id: 2c7b3635e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リアナ-璃亜那- | 作成日時：2021年7月24日 12時
