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湯船に体を預けた途端、体の力がふっと抜けてゆくのがわかった。
訓練で酷使した体が解されているような感覚を覚える。
こうしてゆっくりお風呂に入ることができることに対する感謝の念が湧き上がってきた。
なんで今なんだよ、と心の中で突っ込む。
こういうのって、全ての戦いが終わって平和な毎日を送れるようになったときの感想じゃないの?
湯気で目の前が白く霞む。
その感覚が、何故か懐かしい気がした。
お風呂を上がると、何故かルームウェアが用意されていた。
思わずその場に立ち尽くしてしまう。
ドラ●エにも「夜」あったよね…?夜活動するシーン、あったよね?
でも、これじゃ夜の活動なんかできやしない。
疑問に思いながらも、それ以外に着る服はない。私はそれを着用し、脱衣所から出た。
「あ、Aちゃん上がってきた!」
居間に戻ると、一番にひなたちゃんが声をあげた。
「ご飯はもう結構できてきたけど、よければ手伝ってくれる?」
「わかりました!任せちゃってすみません」
「いいのよ」
美味しそうな匂いがキッチンから漂ってきていた。
目を向けると、天舞は武器の手入れをしている。いや、武器いかついな!?
湊都君はその隣に座って宙を眺めていた。どういう感情なのだろうか…。
鈴凪さんに頼まれて手伝いながら、私はふと疑問に思ったことを聞いてみる。
「あの、鈴凪さん。私が知ってるRPGは夜も活動してたんです。なのにこの服…夜はどうするんですか?」
言いながら気づいた。いつの間にか鈴凪さんもひなたちゃんも私と似たようなルームウェアだ。
「やっぱ馬鹿だなお前」
どこから聞いていたのか、天舞が武器から顔を上げて言った。
「は?何が」
「俺ら一応人間だぞ?眠らずに活動なんてできるわけねーだろ」
…えっ。一応人間なんだ…。
ゲームの世界なのに、人間なんて概念あるんだね。人間の私が言うことじゃないだろうけど。
あの物言いがなんとかならないものか、と私はうんざりした。
返事をせずに手元に視線を戻すと、ひなたちゃんと鈴凪さんが楽しげに話しかけてくる。
「随分と仲良くなったのね」
「え?」
「今日、ずっと湊都君と天舞君と訓練してたんだよね!私も手伝いたかったけど、私魔法使いだからさー。仲いいの羨ましいよ」
「仲良くない!」
叫ぶと、天舞とハモってしまった。
天舞を睨むと、同じく睨み返してくる。
そんな私達を見て、二人が微笑んでいた。
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たまき - やほ。本人です。ネットワーク障害でpc使えなくなったので今日は来れないごめん。これはおじいちゃんのスマホw (2023年1月29日 8時) (レス) id: 552d662989 (このIDを非表示/違反報告)
キル坊(プロフ) - 凛々さん» コメントありがとうございます!こちらの作品でコラボさせていただいているキル坊と申します!お褒めの言葉とても嬉しいです、更新頑張れます!ありがとうございます! (2023年1月27日 18時) (レス) id: a4a1b981d8 (このIDを非表示/違反報告)
たまき(プロフ) - 凛々さん» コメントありがとうございます!私のアイコンはpicrewの「少年少女好き?」様で作らせていただきました。 (2023年1月27日 18時) (レス) id: ad7268cde5 (このIDを非表示/違反報告)
凛々 - 更新頑張ってください、あと、気になったのですが、たまきさんのプロフィールの画像ってどこで作られたものですか? (2023年1月27日 18時) (レス) id: 1b4f4241a2 (このIDを非表示/違反報告)
凛々 - この作品大好きです! (2023年1月27日 18時) (レス) id: 1b4f4241a2 (このIDを非表示/違反報告)
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