【01】 ページ28
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風邪のように恋愛も、抗体が出来ればいいのにと思う。
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ナコ「A、おはよ」
「ナコ。おはよ」
ナコ「ね、今日の一限。休講になってた」
「あ、嘘？メール来てた？」
ナコ「来てた来てた(笑)、先生が体調不良だってー。補講あるかなぁ」
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もし恋愛に抗体が出来れば、失恋するたびに抗体ができて深い傷を負うことはないし
薬を飲んで治癒することも出来る。
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なんで身体には抗体はあるのに
心には抗体がないのだろう。ひどく不平等じゃないか。
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ナオト「青井、ナコ、おはよ」
ナコ「ナオト、おはよー」
「あ、おはよう」
ナオト「今日三限サボれよ！わかったな！」
ナコ「あー、わかったわかった。ハイハイ」
ナオト「じゃーなー」
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八重歯。
びゅん、と自転車で先に走って行ってしまうナオトくんの背中をぼんやりと眺める。
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「…三限、サボるの？」
ナコ「ナオトとこれから夢の国行くの」
「え、二限終わったら？」
ナコ「そ。どうしてもっていうから(笑)」
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全く困っちゃうよねー、って呆れ口調なナコ。
でも顔と口調は一切合致していない。本当は楽しみなんだろう、なんだかんだ言って。
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ああ、苦しい。
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「お土産待ってるね」
ナコ「だふおでいーい？」
「だふおって(笑)」
ナコ「だふおくんって呼んでるのよ、あのくまさん」
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ーーーー…小学校から同じだったナオトはいわゆる、幼なじみ。
腐れ縁と言っていいものか。なんだかんだで大学までずっと同じで
なんだかんだ、私はずっと彼が好きだった。
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ナオトが私と同じ大学に行く、って決めた時は少し自惚れもした。だって県外の大学だったから。
当時の友達も「ナオト、Aのこと好きなんじゃないの？」なんて茶化してきたりもした。
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『青井』と私のことを呼んでくれるあの声が好きだった。
でも好きだけじゃ、ダメだと気づいたのは大学一年の春。
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人が恋に落ちる瞬間というものは、絵画のように美しい。
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ナオト『…ナコ、って呼んでいい？』
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友達になったナコを私がナオトに紹介したのが、失敗だったのだ。
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