#2 一等星のカノジョ【ars K.N】 (ページ6)

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32.私の弱点 - H - ページ6

この間の旅行でAの気持ちを知れた時、本当に嬉しかった。

今まで本気で人を好きになった事のないあの子が、やっとそういう人と出会えたんだから。

私は全力で応援する。

……けど、一つ困った事がある。

それは、
応援したいと思う人がもう一人現れてしまった事。

「ヒトミさ、Aちゃんの好きそうなスポット知らない？」

純粋で真っ直ぐなその目に、私は昔から弱かった。

「雅紀が連れて行きたい所に行けばいいのよ」
「えー…なんだろ、バッティングセンターとか？」
「一発目にそこはさすがに」
「なんだよー俺が連れて行きたい所なのに」
「それは雅紀が行きたい所でしょ。そうねぇ…水族館とかいいんじゃない？」

彼の目に弱いからって、我ながらバカだと思う。

だって、私は過去、彼に振られているんだから。

大好きだった。
……いや、今でも、好き。

だからこうして無邪気に私に恋愛相談してくるなんて本当酷いよねとか思うけど、

「今まで通り友達でいて」とお願いしたのは私だ。
それにこれは２年も前の話。

いまだに私が雅紀を好きでいるなんて彼は思ってもいないだろう。

でも、それでいい。

雅紀に好きな人が出来てしまった以上、この気持ちは消さなければならない。

私はただ、Aの恋と、雅紀の恋を応援する。

そこには理想のエンディングなんて無い。
それぞれの背中を平等にただ押していく。

そう決めたの。

「水族館かぁ…いいかも」
「そうと決まれば今すぐメール！Aの予定が埋まっちゃうわよ！」

……頑張れ、恋する人たち。