28.彼女の心はすでに - A - ページ2
ヒトミから旅行の話を聞いた時は「楽しんでね」くらいでしか思ってなかったけど、
今こうして豪華な料理を囲んでると超楽しいし、
来て良かったと思ってる。
「俺たちも連れてけ」って強引にお願いした大ちゃんに感謝だ。
あと、この旅行の意味もヒトミから聞いた俺は若干浮かれている。
だって、Aちゃんは今フリーになったって事で。
チャンスは十分にある。
……と、思ってたんだけど。
「A、ここ」
ニノは遅れて宴会場にやって来たAちゃんに自分の隣をトントンと叩いて見せて、座らせた。
まるで自分の彼女みたいな扱い。
もしやもうそういう関係？
なんか……距離近いし。
「相葉さん、ビール注ぐよ？」
「あー…ありがとうAちゃん」
でも、このポジションで良かったかな。
目の前に座ってくれた事で彼女の湯上り姿をしっかり見れるし……って、俺はヘンタイか？
・
・
・
開始から１時間半が過ぎて、
みんなイイ感じに酔いが回っている様だった。
ヒトミと大ちゃんは仕事の事を互いに熱く語っていて、ニノは煙草を片手に宴会場を出ていた。
残りの俺とAちゃんはたわいもない話で盛り上がっていて、
そのどこかで俺は何か少しでも彼女にこの好意を気付かせる事はできないかと、伺っていた。
彼女の心が誰かのものになる前に。
だからここに、
貴女を気にかけている男がいるんだって
気付いて欲しかったんだ。
だけど………
「カズ、遅いね。煙草吸いに行っただけなのに。何してるんだろう…」
彼女の心はすでに誰かのものだった。
そりゃそうだよな。ニノと一緒に住んでて恋に落ちない子なんて…いないし。
って、なに卑屈になってんだ俺。
ニノと比べたらAちゃんと一緒にいる時間なんてめちゃくちゃ少ないけど、でも、
それでも振り向かせる為に出来る事はたくさんある
たくさん………
「大丈夫かな…心配、、」
「…たぶん自分の部屋に戻ってんじゃないかな。探しておいでよ」
あーもう、結局何言ってんの俺……お人好しか？
いや、
そんな顔されたらフォローするしかないじゃん…ね
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作者名：ミト
| 作成日時：2019年11月4日 11時
