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一瞬の瞬きすら惜しくなる。
無駄な動作を含まないその、一連の流れ。
縦長の爪が落とした缶を拾い上げて
わたしに返そうとしたけれど、それをやめた。
首を傾けた私を見つめて、困ったように笑ったと思えばその笑みすらどこか儚くて。
｢先輩どこのクラスですか？……これ、手伝います｣
｢えっ、だ、大丈夫、です！｣
｢どうせまた落として 今度は拾えなくなりますよ｣
ごもっとも。
申し訳ない、と思いながら少し解放した腕のなか。
目を細めた彼の手先が伸びてきて 拾ったのも含め3本彼の手のひらに収まった。
｢ご、ごめんなさい｣
｢2本だけ、持って貰えますか｣
｢いやっ、えぇ……｣
しどろもどろになる私を少し高いところから見下ろして クスと肩を上下させる姿はまるでどこかの国の王子様。
こんな人同級生にいたかなあ、あ、先輩かなあ、なんて思っているうちにつま先が階段へと差し掛かって
私の真横を歩いていた彼が ピタリと足先を止めた。
｢ここから2年棟ですよね？俺、まだよく分からなくて｣
｢え？｣
先輩なのに？
自分でもわかるほどに目を丸くして
背の高い彼を見上げると
それと比例して ゆったりと首を傾ける。
｢先輩？聞いてますか｣
先輩？先輩
せんぱ、
い？
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｢えっ先輩！？｣
｢さっきから言ってるじゃないですか｣
｢きみ、私の後輩なの……！？｣
いやいや年齢詐欺もいいところだ。
正直ボク大学生、と言われても納得出来る容姿。
今の子って恐ろしい。
翌々見てみると、シワ1つない彼のネクタイは
一学年したを表す青色のラインが入っていた。
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作者名：スイ | 作成日時：2018年12月16日 13時
