プリムラ 3 (ページ46)

今日:9 hit、昨日:79 hit、合計:43,486 hit

君との向き合い方 s.t ページ46

佐々木大光

「た、い、こ！」

危なっかしいかつきは、今日もぴょこぴょこと俺の周りを跳ねる。どこかの小動物みたいなそれは俺のことを癒してくれる可愛い恋人なんだけども……

「邪魔」
「え……？」

「聞こえなかった？今忙しいの。邪魔なの。あっち行って。」

冷たい言葉だけを突き刺すと、かつきはその大きな目をまたひと回り大きくさせて、綺麗なガラス玉みたいな涙を落とす。

それに、耐えられなくなって

「ぷはははっ」
「え？たいこう？」
「ごめん、意地悪した。全然怒ってないから。」

笑いながら言うと、かつきは「嫌われちゃったかと思ったぁ」ってぐしゃぐしゃの顔で言う。ぐしゃぐしゃの顔でもかっこよくて、ずりぃけど。

また意地悪したくなっちゃって

「まあ昔は嫌いだったけどね」
「んぅ、それは……そうだけど……さ？」
「だーいじょうぶだって、落ちたら上がるしかないだろ」
「ちょっとよくわかんない」

「嫌われちゃったかと思ったぁ」

それ、俺も思ってるんだけどな。

矢花のこと、話してくれるまで待ってるからね。