プリムラ 3 (ページ43)

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矢花② m.k ページ43

本髙克樹

「だかさん」

「なに……」

「俺と付き合うことが不可能なら、ちゃんと言ってください。だかさんは誰が好きなのかはっきりしてください。」

「……」

普段優しい矢花の怒り口調に少しびっくりしてしまう。逃げないようにと両手首を掴み、じっと俺の返事を待つように見つめてくる。

「だかさんは優しいから、きっと俺のことを傷つけないようにって曖昧にしてるんだと思うんですけど、それが嫌です。ちゃんと言って欲しいです。だかさんの言葉は全部受け止めます。」

力強い矢花の言葉が胸に響く。
矢花は真剣に俺のことを好きでいてくれてるんだなって、自分で思うのは気持ちが悪いけどそう思ってしまった。

矢花は俺に真摯に向き合ってくれているのに、俺はこんななあなあな感じで終わらせてしまうのは失礼だ。ちゃんと言わなきゃいけない。

「おれは……俺は大光の事が好きだから……」

「はい」

「矢花とは付き合えないです……。ごめんなさい。」

きゅっと目尻を結ぶ矢花。

「謝らないでください、凄い惨めな気持ちになるので。」

「あ、それは申し訳ない。」

「だかさん。ちゃんと答えてくれて有難う御座います。」

「え、いや、俺も。矢花が俺なんかのこと好きになってくれて有難うね。」

「だかさんは先に帰ってください。俺は少し練習したいことがあるので。」そう言われたので、楽屋に戻ってきた。

「克樹どこ行ってたの」
ふわふわした空気を纏うこんぴ。

「矢花に、ちゃんとお返事してきた。」

「そっか。頑張ったね。」

意外と男らしいこんぴの手で頭をぽんぽんされ、つい安心感に浸ってしまう。

　
「こんぴにはお世話になったからなんか奢る！」

「いいんですか！」

「うん。なに食べたい？寿司でもいいよ！」

「それは克樹が食べたいだけじゃん。」

「へへ、バレた」

よく分からない感情、またこんぴに教えてもらおう。

　