プリムラ 3 (ページ27)

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いじわる m.k ページ27

本髙克樹

矢花の前髪と自分の前髪が触れる距離感。
矢花の鼻先と自分の鼻先が触れる距離感。
矢花の睫毛と自分の睫毛が触れる距離感。

矢花の口先と自分の口先は触れない距離感。

矢花に好きだと言われた。

「だかさん、好きですよ。」
「い、いきなりそんなこと言われても俺……」
「だかさん本当に鈍感ですね。俺結構アピールしてたんですけど。」

大光にも鈍感って言われたことあったな……俺そんなに鈍感なのかな。

ていうか

「あの、近いです」
「そりゃあ近づいてますからね。だかさん耳真っ赤でかーわい」

矢花の綺麗な顔が迫ってきたらさすがに俺もびっくりしてしまう。
声も、心臓の音も全部近い。大光とは全く違うなにか。

「俺で遊ぶのやめてよ」
「遊ぶ？……俺本気ですよ、克樹」

矢花の意地悪、こういう時だけ名前で呼んでくるなんて。

普通にここから逃げ出したい(どうしたらいいのか分からないから)んだけど、矢花に両手首を掴まれてて逃げれない。

なんかばなさんにも男らしいとこあるんだな……って。

「わ、わかったからぁ！とにかくこの手離して」
「何が分かったんですか？」
「……」
「そんな顔したって無駄ですよ。ふふ、ほっぺ膨らまして可愛い。」

矢花の意地悪。矢花が何したいのか分からない。

もうやだ、近いしなんか怖いしでもいつもよりかっこよく見えるし……俺もおかしい。

「大光と付き合ってるから諦めようと思ったけど、だかさんがこんなふうに俺の事諦めさせてくれないのが悪いですからね。恨むならその滲み出た可愛さを恨んでください。」

ほんと、意味わかんない。

やっと解放してくれた手首もちょっと痛いし。

「だかさんが望むなら浮気というスリルなれん……」

「しません！」

「即答ですか。」

「俺浮気には興味無いもん。」

「だかさんらしくて好きです。」

「好き好きうるさい、恥ずかしいからやめて……」

「その顔が見たいから言ってるんですけど」って優しく笑う矢花。

「今日の矢花いじわる」

「意地悪ですか、可愛いですねだかさん。」大光より冷たい手で頭を撫でられる。

「だかさんお先に失礼します。」

俺の事置いて帰るなよばか。

　