プリムラ 3 (ページ11)

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その後 s.t ページ11

佐々木大光

「これで頑張れる、大光じゃあね！」

あれから真っ直ぐ帰った。
なんにも考えられなくて、意味も無く走った。
家に着いてただいまだけ言って電気もつけずにベッドに身を投げた。

え、彼奴って俺にハグされただけで頑張れんの？
可愛すぎる。

熱かったからだも冷めはじめて虚しくなってきた。

もう今日は本当に、すっごい幸せだった。
撮影終わりのたった4時間くらいだったけど、それでも幸せだった。

食べてる時はやっぱり幸せそうで、たまにぼーっと何かを考えてて、俺がオススメしてあげた服のはいったショップ袋を大事そうに抱える所は可愛かった。

あとはすれ違う子供とか、公園にいる猫に優しい顔をする。そんな優しい顔見た事なくて、ほんのちょっとだけ5歳児になりたくなった。

それと、それと

とにかく沢山新しい一面が見れた。
最初はあんなに好きじゃなかった本髙なのに。嫌なとこばっか目に付いてイライラして、言い合いになって、何故か俺以外には心を開く彼奴にムカついてちょっと心無いことを言ったこともあった。その時も(まあ子供だからしょうがない)みたいな態度取られてムカついたのに……

今じゃどんなところも全部ぜんぶ好きに思えてしまう。
付き合った時は、俺が無理やり付き合わせたみたいな感じだったのもあって矢花とか琳寧とかと一緒にいることが多かった。好きって言っても「そっか」で終わって、キスしようとしたら避けられた。

その時と比べたら距離は縮まったんだってうれしい。

でも、ちょっといきなりすぎて俺も持たない。
あの顔に見つめられる俺の気持ちも考えて欲しい。

「これで頑張れる、大光じゃあね！」

克樹は今頃頑張ってるのかな。いつもなんか分厚い本読んだり、なんか書いたりしてるもんな。

俺には頭が悪すぎてよく分からないから、余計なこと言わないように黙ってたけどでもやっぱ

「無理すんなよ」

これだけメッセージ送って、寝落ちした。

　