【東リべ】六本木のシスコン姉妹【灰谷兄弟】 (ページ22)

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星乃視点

昨日の夜、家に帰ってからも特に会話が無かった。
いつもみたいにお風呂は一緒に入ったけど、ほぼ無言。
もしかしてこれを機に姉離れ……？なんて考えた時にはホンマに泣くかと思った。

無理無理無理無理無理耐えらへん、ホンマに死ぬ……！
朝食の時もお風呂の時と一緒、終始無言。

溢れ出とる近寄んなオーラのせいで声の掛けづらさがヤバい。

星乃「A、昨日はどしたん？お姉ちゃんに言ってみ」

『……部活のことやから、お姉ちゃんに話す事ないよ。心配かけてごめ、』

星乃「A、」

Aの態度に思わず語気が強くなる。
それにビックリしたのか、Aは肩に力が入って強ばった。
別に怒るつもりは無い。

それを分かってほしくて、Aの艶やかで柔らかい頬に
優しく触れ、撫でた。

星乃「A。Aはもっと自分のために怒ってええんやで」

『！』

星乃「Aは昔っから私のために怒って、守ってくれるけど、自分のために怒らんから私にも言わんしずーっと我慢する。……ありがと、私に心配させたくないんよな」

『……うん……、うん……！』

今まで押し殺してきた大粒の涙が堰を切ったようにボロボロと溢れ出してくる。
その涙を優しく拭く。
まだまだ溢れる涙と一緒に心の内に秘めていた怒りも溢れた。

『自由曲のソロ、先輩に負けやんように頑張って、オーディションで勝ったのに！同級生が「1年のくせに」とか「生意気」とか言ってきた！！先生も、先輩もええよって言ったのに』

星乃「醜いやっちゃなぁ。器小さすぎん？おちょこやん」

『それが理由で殴られた！相手は女子ばっかやったし、自分が殴ったら過剰防衛で怒られてまうから殴り返せへんくて、』

星乃「そーか。Aは優しいなぁ。そんなん言うやつらはAより耳も悪ければ楽器も絶対ヘタクソなんやから、気にせんとき！な？」

背中をよーしよしと大きく撫でると、肩に顔を埋めてまた泣き始めてしまった。

星乃「ヨーシヨシヨシヨシ。学校は行ける？」

『うん……』

星乃「よし！なら一緒に行こ！」

星乃「なァ、アンタら楽器好き？」

「は、はい……！」

星乃「ん。慈悲で顔やな」

「い"……っ！な、なん……！？」

星乃「なんでって、笑えやんなぁ」

Aの敵は私の敵。私の敵はAの敵、やし。

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