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「私から…話します」




私が出した答えはこれだった。

先生は笑って「わかった」と言った。
お父さんは昇降口に居ると言われて、私はゆっくりと向かった。


私から話すとは言ったけど、
やっぱり理由にお父さんを使いたくは無かった。
お父さんの前なら尚更。

どうやって説明しよう、と心の中でぐるぐると考えながら歩いていると遠くに下駄箱に寄りかかりながら待っているお父さんが見えた。

眼鏡を掛けて一応誤魔化しているお父さんは今日が初めて私の学校に来た日。
こんな理由で来させてしまったことに罪悪感がまた募った。



「お父さん」

「……大丈夫か。」



恐る恐る声を掛ければすぐに顔を上げて
此方に駆け寄るお父さんに胸が痛む。

お父さんの顔が見れなくて俯けば、お父さんが私の身長に合わせてしゃがんでくれた。
…もう私子供じゃないのに、
そんなひとつひとつの行動が優しくて目尻に涙が溜まった。


「…どうした、」

「ごめんなさい、、私っ、」



私の頰の傷に気付いたのか、その大きな手で頰を包むお父さんに私は絞り出すように声を出した。

ぽろぽろと流れる涙は止まらなくて、
私が泣く姿を見慣れてないお父さんが困惑の表情を見せた。

…また私はお父さんを困らせている。



早く泣き止んでちゃんと「人を傷付けた」と言わなきゃいけないのに中々止まってくれなくて。

焦りながら眼を擦った時、
ぼやけた視界の隅に保健室から出てきた相手の男子が親と一緒に歩いている所が映って身体が硬直した。


相手の男子も此方に気付き眼を見開いた。

その表情は私が泣いているからでは無く、
紛れもなく私の目の前に居るプロヒーロー"爆心地"だという事実に驚いている顔だと思った。




「私っ、個性でクラスメイト傷付けたっ…!
お父さんにも迷惑掛けて…、ごめんなさい、ごめんなさい…!」




振り絞った声は震えているけど充分声は廊下に響いた。
お父さんの表情を見るのが怖くて、私は逃げるようにまた俯いた。


お父さんは今、どんな表情をしているんだろう_。

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とた - 爆豪君がめちゃくちゃ理想のパパで、読む度にしんどいです‎߹𖥦߹ 大好きです……!!更新お待ちしています!! (2021年10月26日 23時) (レス) @page19 id: c64444001a (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃ - すごく面白いです。更新待っています (2021年5月30日 12時) (レス) id: bd6a8b3525 (このIDを非表示/違反報告)
とあ(プロフ) - かっちゃんパパめちゃ好きです!更新楽しみにしてます〜 (2018年6月6日 21時) (レス) id: b37c094aac (このIDを非表示/違反報告)
milk - かっちゃんのお父さん姿が理想過ぎて殺られました...(/_;)/~~大好きです!!!更新楽しみにしてます!!! (2018年5月31日 18時) (レス) id: 2e49390f17 (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 読む度にかっちゃんの父親感に感動して泣きそうです… (2018年5月29日 0時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ななな | 作成日時:2018年5月25日 18時

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