【第五人格】奪われた灰色の弟【男主】

〆（0.5）〆 ページ32

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初めての海でとても興奮していた。





本で見た綺麗なガラスの石を探してお兄ちゃんに渡したかった。





夢中になってて海面が上がってきていたことに気がつかなかった。






大きな波と共にお兄ちゃんの声した。






お兄ちゃんの焦った顔が目に入った。




僕は波に掴まれて海に引きずり込まてしまった。




手はずっと僕を掴んだまま離さない。



いくら暴れても離してくれない。




息ができない。



死んでしまう、そう確信したけどしばらくすると息が出来るようになった。



不思議に思っていると体に大きな変化が起きた事に気がついた。




僕の下半身は尾びれがついていて魚のようになってしまっていた。





声がした。




その声は僕に呪いをかけたと言った。




呪いが解けるまで人に戻れないと言われ戻るには人を食べろと言われた。



最初は嫌だったけど身を投げた人、事故で海に落ちた人の体を頂いた。



とても嫌で仕方がなかったけどだんだんとそれが日課になっていきそれと同時に記憶が消えていった。



記憶が消えている事には気が付かなかった。




僕はだんだんと海の人喰い化け物になっていった。



人の言葉を忘れ、人の言葉を喋れなくなった。




人を選んで好みの体の人を殺して食べて…。




人間に戻り心配している人の元へ会いに行くという思いだけは消えなかった。





それ以外は何もかも忘れてしまった、




泡になる前に思い出した。




最後にお兄ちゃんに声をかけ別れをした。





お兄ちゃんと居たかった。





あの日、僕が海に行きたいなんて言わなければお兄ちゃんと離れることはなかったのだろうか…。






後悔しても遅すぎる。



時間を巻き戻せたらどれほどいいことか……。





さびしい……なぁ……









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