31 ページ34
『蓮？何で、ここに、』
すると、大きな音を立てて蓮が入って来た。蓮にも、あの連絡が来たのだろうか…？
「お前こそどうした」
『優衣から連絡があって…でも、途中で誰かに襲われたみたいに途切れて。何かあったんじゃないかと…』
「シザースだ」
『…え？』
「優衣を襲ったのは、仮面ライダーシザースだ。ソイツがいるアンティークショップに、優衣の名前が書かれたメモがあった」
『それ、って…』
「城戸が喋ったんだろう。優衣はきっと、ソイツに連れ去られた」
シザースが？
…それは、つまり…須藤サンが、優衣を連れ去ったと？
『嘘、』
「…お前、シザースの正体を知ってるのか」
『……！』
「答えろ！そいつは敵だ！」
『…で、も』
…敵。
確かに、優衣が連れ去られたなら、姉として全力でその犯人を敵と見なすべきだ。ただの人間なら、私だってそうしている。
それが出来ないのは、相手がライダーだからだ。そして、今私を問い詰めている相手もライダー。私は終着点。…ライダーに対して、平等でなければならない。
だが、蓮の剣幕に押され、とうとう私は口を割った。
『知ったのは、昨日。一緒にご飯行った時、モンスターが現れて…』
「名前は」
『……須藤、サン』
「…どんなやつだ」
『…刑事だよ。私や令子サンを、助けて、くれた…』
蓮は後を追うぞと言って踵を返した。
キッチンに置きっぱなしのやかんは、未だ熱を保っている。優衣が出ていってから、そう時間は経っていない。だから、まだ近くに居るはずだ。
…でも、本当に須藤サンが？あんなに優しかったのに？
どうして優衣を？兄さんの妹だから？だとしたら、私に矛先が向かなかった理由は？
何より私は、平等でなければならないのに。
「何を考えてる、早くしろ！」
『ぁ、うん。ごめん』
立ち止まっていると、蓮に腕を引かれて外へ連れ出される。蓮の後に続くようにバイクに乗り、走り出した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 34人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なちなちこ。 | 作成日時：2022年9月24日 18時
