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「今回行方不明になったのは23歳のOL、飯田恵さんです」
「でー、これまでの事件との共通点は？」
「原因が全く見当たらないこと、目撃者が居ないこと、何人かがそうだったように、部屋が密室だったこと」
『……』
令子サンと真司が取材から戻り、五人で黒板を見詰める。そこには、令子サンを主体に最近追っているネタ、連続失踪事件についての詳細が書かれていた。
原因不明、目撃者無し、密室。
まるで神隠し。
半年程前から徐々に増えたこの事件は、現在、被害者の共通点も事件性も無しである。
「ベタな見出しだと…謎の連続行方不明事件…ってとこか」
島田サンの言葉に皆が頷こうとした時、真司が立ち上がった。
「いいじゃないですかそれ！解明しましょうよ！真実を突き止めるのが、ジャーナリストの醍醐味ですよね」
彼の目は、子供が秘密基地を見つけた時のように輝いている。
ため息をつき頭を抑える周りを置いて、真司は握り拳を振りながら続けた。
「もし犯人なんか見つけたら俺がとっ捕まえて……！」
「オイ真司」
「はい！」
編集長は立ち上がり、たっぷり時間を使って。真司の眼前に指を突き出して、一言。
「バカ」
隣で島田サンが堪えきれないといった様子で笑いを零した。かく言う私も、目頭を抑えつつ笑いを堪える。
「…え？」
「お前な、俺たちは警察じゃないんだよ」
ポカンとしている真司を椅子に座らせて、編集長が｢な、｣と念を押した。
真司もと納得したらしくそっか、と零して数度頷き、それから勢いよく立ち上がる。
「じゃあ取材を…！」
「城戸くん」
が、今度は令子サンの手によって再び椅子に座らされた。
「あんたに取材は早すぎるわ。まず、このパソコンに入っている行方不明者のリストに目を通すことから始めなさい」
真司はそれだけですか〜？と不服そうにしたが、令子サンが譲歩するワケもなく。彼女は無慈悲にそれだけだと告げ、取材へと向かった。
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作者名：なちなちこ。 | 作成日時：2022年9月24日 18時
