鶴は幸せを運ぶのか Ⅰ (ページ27)

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『真司ー、真司ー』
「んー…」
『真司ー起きろー』
「ん、ぅあー…」
『起きろって』
「いっで！」

朝八時過ぎのOREジャーナル。私は、仕事場のテーブル下の寝袋で眠る真司を起こしていた。中々起きないところを見ると、随分ここに馴染んでしまったようだ。
脇腹を思いっきり叩くと、彼はようやく体を起こす。

「オイ真司ィ、いつまで寝てんだよ」
「すいません…あれ？令子さん、遅刻ですか？」
「お前じゃねーんだよ」
『令子サンは例のアンティークの件で取材中』
「アンティーク？」
『行方不明事件の被害者に、共通点…になり得るかもしれない点があったの。それがアンティーク好きってことなんだって』
「えっ？！なんで教えてくれないの？！」
『知らないよ、編集長に言って』
「編集長！そういうことは俺にも教えてくださいよ！」
「なんでいちいちお前に報告しなきゃいけねーんだよ。上司は俺だぞ？Aも俺の方に投げるなって」
『面倒だったもんで』

と、島田サンの机に置かれた電話が鳴る。彼女は編集長に伝える、とだけ言って、電話を切った。

「大事件でもあったか！」
「いえ違います」

その答えに、明らかにつまらなそうな顔をする編集長。チ、と舌打ちまで漏らした。

『…で、何なんです？』
「令子さんが入院したって」
「ふーん…」

編集長が興味なさげにそう言って、一泊置いて。

「「『ええええええ？！』」」

(島田サンと令子サン以外の)OREジャーナル社員全員の叫び声が響いた。