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結局真司を追い出すことは叶わず、会社の一角には真司の生活スペースが出来上がってしまった。
ちなみに私はあまり私物は会社に持ち込まない派である。令子サンにそう育てられたからってのもあるけど、純粋に仕事とプライベートは分けたいので。
…それはさておき。
私は現在、花鶏に向かっていた。理由は特に無し。仕事も終わって特にやることもないので、優衣の顔を身に行こうと思ったのだ。
バイクから降りて、花鶏の扉に手をかける。
『おじゃましま＿＿』
「＿＿こと何も知らないじゃない！」
『！』
びくりと肩を震わせ、立ち止まる。
扉が開いた瞬間、優衣の声が聞こえてきた。その声は怒りを孕んでいる。
見てみれば、そこで真司と優衣が向かい合っていた。今の怒号は、真司に向けてのモノらしい。
『…優衣、』
「お姉、ちゃん」
「Aちゃん…」
『…どうしたの、二人とも』
タイミング悪かったかな、と思いつつ、近付きながら話しかければ、優衣はいくらか落ち着きを取り戻して、椅子に座り直した。
話を聞けば、こうだ。
真司は蓮の行動を怪しく思い、注意した方がいいと優衣に忠告をしに来た。蓮が、契約モンスターであるダークウィングに、人間を襲わせていると思ったらしい。実際、ダークウィングが人間を襲っているような場面を何度か見たそうだ。
しかし蓮との付き合いも長く彼を信頼している優衣にとって、その疑いは我慢ならないモノだった。故に出た、｢蓮のこと何も知らないじゃない！｣という言葉であったと。
「私、蓮が戦うところ何度も見てきた。蓮はね、そりゃ性格悪くて、意地悪で、ケチで、好き嫌い激しくて、何考えてんのか分かんないけど、きっと何かの為に戦ってる。蓮の戦い見ていたらそれが分かるし、だから私は蓮を信じられる」
『優衣……』
優衣が落ち着いた、しかしハッキリした意志を感じさせる声で言った。
優衣…確かにその通りなんだけどさ…そんなボロクソに言わなくても…。
確かに性格悪くて意地悪でケチで好き嫌い激しくて何考えてるか分かんないけども…。
少し蓮の事を気の毒に思いながらも、だいたい事実なので弁明は出来なかった。
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作者名：なちなちこ。 | 作成日時：2022年9月24日 18時
