ＯＮＬＹ［HS］ (ページ44)

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診察は先生からの質問に答える、というものだった。
相変わらずホソクオッパは隣で手を握っててくれて、そのおかげで落ち着いて答えられた。
一通りの質問が終わると、先生が口を開く。

「ストレスからくる心の病気ですね。マスコミに悩んでいる、ということでしたが、他にも何か原因があるような気もします」

マスコミのこと、いつ話したんだろう。
ホソクオッパにバレちゃった。

「しばらくは安心できる環境でしばらく休養することをお勧めします。Aさんは日本の方ですよね？ご家族は日本にいらっしゃいますか？」

「はい…」

「ご家族とは仲がいいですか？」

「そうですね」

「そうしたら、ご家族と一緒にしばらく過ごすのが一番良いんじゃないかと思いますね。どちらにせよ、当分の間は人前に出ることは控えていただきたいです」

人前に出ることを控える、つまり、活動を休むってこと？
そんなこと、許されるわけが…

「もちろん、休養自体がストレスになるケースもありますから、本人の意思もしっかり確認した上で決めてください」

MN「わかりました。今後のことは上とも相談してみます。」

「今後Aさんがずっと不安を抱え続けないためにも、一番良い選択をしてあげてください」

包容力のある先生はそう言って笑うと、薬は一応出しておきますからね。
抜糸の時にまた来てくださいね、と言って、お大事にと微笑んだ。

MN「じゃあ、車椅子返してくるけど、Aは歩けるか？」

「あ、歩けます。大丈夫です」

MN「じゃあ、ホソガ。会計だけ済ませておくから」

待合室で待つわけにも行かないので、と病院側が一つ診察室を空けてくれたので、車椅子からベッドに移動する。
まだ麻酔が効いているのか、痛みはあまり感じなかった。

HS「A？」

オッパに名前を呼ばれて見上げると、真剣なオッパの顔。

HS「マスコミに追いかけられてるって、知らなかった」

「あ…」

HS「それに、まだ他にも悩んでることがあるの？」

「…」

どう話していいか分からなかった。
自分の気持ちを相手にわかるように話すには、今は感情の整理ができてなさすぎる。
私は黙ったまま俯くことしかできなかった。

HS「…わかった。じゃあ、話せるようになったら必ず話して。約束して」

オッパと約束すると、オッパは優しく微笑んでいた。