ＯＮＬＹ［HS］ (ページ37)

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「Aさん！！」

待っていたのは、どこまでもしつこく追い回してくるマスコミ。

ボーイズグループの紅一点ということで、何かしらのスキャンダルが欲しいといったところだろう。
特に私が1人の時は酷かった。
助走をつけて体当たりしてきたり、物を投げたり。異常なほどの至近距離でフラッシュを使って撮影しようとしたり。
ボディーガードさんが付いて守ってくれてはいるが、そのストレスは着実に溜まっていた。

だからと言ってそれをメンバーに悟られればメンバーにも迷惑をかける。
マネオッパとボディーガードさんに、メンバーには言わないでくれとお願いし、私はなるべく1人で帰るようにしていた。

「Aさん！紅一点ということですが、女性ファンに申し訳ないと思わないんですか！」

「男性の中で女性が対等に活動できるとお思いですか！！」

「メンバーに迷惑かけているとは思わないんですか！」

「メンバーに近づいてデビューしたって本当ですか！」

そんなこと、あるわけないでしょ。
全部全部、根も歯もないただの言いがかりなのに、来る日もくる日も何十回と同じ言葉を投げかけられていると、そうなのかも、と思ってしまうものだ。

もしかしたらメンバーに迷惑をかけているかも。
対等に活動していけるわけないのかも。

MN「A、聞くな」

マネオッパは私の頭に毛布をかけて、毛布ごと耳を覆ってくれる。
それでもばちばちと光るフラッシュと、無慈悲に投げかけられる心ない言葉。

実は限界が近いと、私は自分でも気づいていなかった。