〇 40 ページ40
あなたサイド
____繋がった手に、交換したかき氷。
全部が眩しくて、夢みたいだ。
終わって欲しくないこの時間。
終わって欲しくないとしくんの隣。
力加減を知らないとしくんは、かなり強めに私を引いて前を歩いてく。
その不器用で無愛想な背中に抱きつきたくなる。
離したくなくなる。
無理にねだってみたくまのぬいぐるみ。
としくんが妙なセンスを発揮して、あっという間に取ってくれた。
的を狙って引き金を引くとしくんの横顔があまりにかっこよくて見とれていたら、あっという間のことだった。
「あっ、あたった!」
としみつ「っしゃ」
一言そう吐き出して、「ん」と私の胸にぐっとくまのぬいぐるみを押し付けた。
射的に関しては器用なのに、こういう所は本当に不器用だ。
「ありがとう」
としみつ「幼稚園児」
「うるさい笑」
つい二日前まで「はじめまして」とか言ってたのにこんなに仲良くなるなんて。
うるさいと言いながらも、にやけてる自分が恥ずかしい。
ああ、終わって欲しくない。
としみつ「そろそろ始まるか」
時間が経つのが早すぎて、
しかも、花火までの時間を楽しみ過ぎて、
花火の存在を忘れていた。
「始まりそう」
としみつ「人がいないとこ行かね?」
「うん」
そこそこ顔が知れてるとしくん。
こんな私が隣に歩いていていいのか不安になるくらい、周りはざわついていた。
人がいない所で、二人きりになりたかった。
でも、いざなるとなると緊張してきた。
「ここまで来ればいない?」
としみつ「いねーな」
大分歩いて、公園の原っぱに出た。
チラホラ人はいるけど、どこもカップルで私たちが視界に入るような雰囲気ではない。
こんなところに、としくんと2人。
客観的に見たら、わたしととしくんもカップルに見えるのかもしれない。
…それだけでドキドキした。
親切にも浴衣屋さんが貸してくれたレジャーシートに二人座った。
思いの外小さいレジャーシートのせいで、くまのぬいぐるみが入らなくて。
せっかく取ってもらったぬいぐるみを汚したくなくて、としくんの隣にぬいぐるみを置いて私はレジャーシートの外に座ろうとしたら、
としみつ「馬鹿なの?こっち」
「ちょっ」
また強引に引っ張られた。
としみつ「Aさん汚れんじゃん」
ぬいぐるみはとしくんのあぐらの中に引っ張られて、私を隣に誘導してくれていた。
____だめ、優しい。また好きが溢れた。
574人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なな(プロフ) - 素敵な作品ありがとうございます…!泣きました。 (2018年8月17日 22時) (レス) id: 21460c7daa (このIDを非表示/違反報告)
カリン - めっちゃドキドキしました (2017年12月25日 16時) (レス) id: 85ef3d3396 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーもも(プロフ) - 初めまして!!…なんかもう、ドキドキが止まりませんでした(´;ω;`) (2017年9月19日 20時) (レス) id: b5c457861f (このIDを非表示/違反報告)
MONO(プロフ) - 百恵さん» ありがとうございます(*^_^*)シーズン2でもお待ちしております! (2017年8月16日 17時) (レス) id: 8a5be1dd18 (このIDを非表示/違反報告)
百恵(プロフ) - 今までみた作品の中で1番好きです!最高でした!! (2017年8月16日 14時) (レス) id: 322469ddfa (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:MONO | 作成日時:2017年5月5日 19時