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あなたサイド
____目覚めたら、何故かとしみつさんの腕の中にいて、
「…ちゃんと、掴んで貰わないと困る」
そんなことを言われ、夢から覚めたのにまだ夢の中にいるような気持ちになる。
赤い顔を隠すのに必死で、泥酔してしまうのは嫌いだけど、今回ばかりは泥酔してよかったとまで思ってしまった。
外に出ると、初夏の蒸し暑い空気が私たちを包んで、心臓の音もすっごく心地よくて、
車までの道のりがもっと遠かったら良いのに。
そう強く思った。
車の中で待っていたりょうくんが私を見て「起きたんだ」なんてケロッとした返事をした。
「ごめんね、こんなに酔うなんて自分でも思ってなかった」
「久しぶりの岡崎で安心してたんでしょ笑」
そんな会話をしてる私を、としみつさんは、「足ちょっといいですか」とか言って、私の足が車のドアに当たらないよう気をつけながら、優しく運んでくれる。
…紳士的だな。
「すいません、ありがとうございます」
「いえ、大丈夫です」
やっぱり女の子慣れしていないのか、返事はすっごく素っ気ないけど、これは照れ隠しなんだということが、今日一日でよく分かった。
「堅苦しいね、敬語。笑 タメにしたら?あと2日間も泊まるらしいし、としくん」
ぼーっととしみつさんの事を考えてたら、りょうくんがハンドルを回しながら言う。
「あっ、泊まるんですか!」
衝撃の事実に声が出ると、としみつさんは「まぁ」と冷たく前を向いたまま言う。
しばらく沈黙が続いて、としみつさんは助手席に座っていたから、後ろに座る私を振り返って、
「…よろしく」
そう小さく言ったから、私も
「よろしくね」
そう返しといた。
「まだ堅苦しいじゃん!笑 なんで?
Aはさ、としみつのこと、としくんって読んでいいから。俺も呼ぶしとしくんって」
そんな無理難題を言うりょうくん。
ドSなんだから。
「…でも」
「ねぇ、いいでしょ?としくん笑」
「まぁいいけど」
「ほら、としくんが良いって笑」
…いやいや、絶対イヤイヤでしょ
そう思いながら
「としみつさんで」
そう言えば、
「としくんじゃないんすか」
ってとしみつさんが、ちょっと悪戯っぽく笑って私を振り返って、思わずキュンとした。
「…としくん」
私が言うと、「はい」とやっぱりいつものとしみつさん…としくんに戻って、恥ずかしそうに向き直る。
____…あと2日、もっとあなたを知りたい。
そう強く強く思った。
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なな(プロフ) - 素敵な作品ありがとうございます…!泣きました。 (2018年8月17日 22時) (レス) id: 21460c7daa (このIDを非表示/違反報告)
カリン - めっちゃドキドキしました (2017年12月25日 16時) (レス) id: 85ef3d3396 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーもも(プロフ) - 初めまして!!…なんかもう、ドキドキが止まりませんでした(´;ω;`) (2017年9月19日 20時) (レス) id: b5c457861f (このIDを非表示/違反報告)
MONO(プロフ) - 百恵さん» ありがとうございます(*^_^*)シーズン2でもお待ちしております! (2017年8月16日 17時) (レス) id: 8a5be1dd18 (このIDを非表示/違反報告)
百恵(プロフ) - 今までみた作品の中で1番好きです!最高でした!! (2017年8月16日 14時) (レス) id: 322469ddfa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:MONO | 作成日時:2017年5月5日 19時