グラサン分解魔は奥さんに甘い4【松田陣平】

140話 ページ21

病院を出て、家に戻った。


しかし、ずっとそうくんが話さないのだ。無理もない。ずっとお出かけするのを楽しみにしてたのに、急に行けなくなってしまったのだから。


私のせいで……


『そうくん……ごめんね。ずっとお出かけ楽しみにしてたのに…』


颯真「………あかちゃん、だいじょうぶなの？」


『うん。お医者さんが大丈夫だって言ってくれたよ。それに今もね少し動いてる。』


颯真「あかちゃんって……いつあえるの？」


『あと5ヶ月くらいかな。』


颯真「…………やだ」


『え？』


颯真「……だって、あかちゃんうまれたら、パパとママも、もっとあかちゃんのことばっかになるでしょ…？みんなあかちゃんのほうがすきでしょ…？」


『そうくん……』


陣平「確かに、颯真にいっぱい我慢させるかもしれない。でも颯真のことだって大事に思ってる。だから、あと少し待ってて……」


颯真「やだ！いっぱいがまんしたもん！ママがびょういんいたときも、きょうも…もういっぱいがまんした！」


『ごめん…ママが悪かったね……』


颯真「……もっとがまんするなら、あかちゃんなんていらない！」


その言葉がグサッと、私の胸を抉る。優しくて、人の事を傷つく言葉を言わないこの子から言われたからこそ、余計胸が苦しくなる。


陣平「颯真！」


さすがの発言に陣平が怒ると、ボロボロと泣き出して、部屋から出ていこうとする。


『颯真……待って！』


陣平「あいりはそこにいて。俺が行くから。」

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