夜明けのいばら道�� ページ39
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突如、部屋の外から音がした。
その音にシンと部屋の中は静まり返り、Aは何事かと顔を上げる。
｢ネズミかな。
………………少し見てこい小泉。とりあえずこのガキ共は俺に危害を加えられない。お前が言った方が安全。銃弾くらいはなんとかなるっしょ｣
怪訝そうに眉を顰めた鶴瓶の指示に、分かった、と小泉が頷く。恐る恐る扉に近づき、そっとドアを開けながら少しずつ外に首を出す。侵入者を確実に仕留めるため、警戒しながらの挙動だった。……が、
｢『眠れ』｣
｢え｣
拳を振り上げることも、蹴りを繰り出すこともできず、情けない声を漏らしたのを最後に、小泉はその場に崩れ落ちた。
｢な、ッ！｣
危険を察知した鶴瓶が振り返るより一瞬早く、入り口から滑り込んできた影が動く。鶴瓶は顔面目掛けて飛んできた手刀を腕でガードしたものの、直後にガラ空きの鳩尾に強烈な拳が沈んだ。
窓から差し込む光が照らすのは、不安で仕方ないAが、1番会いたかった人物。
｢狗巻先輩？｣
｢しゃけ｣
聞きたかった声が聞こえて、鶴瓶を倒したその人は振り返った。もしかしたら助けに来てくれるんじゃないかという淡い期待を打ち砕かれた直後の出来事だったので、とてつもない安心感が押し寄せて目から涙が溢れる。葉巻用のナイフで縄を切ってもらい、解放された途端に勢いよく抱きしめられた。
｢こ、怖かったよおおおおっ…………！｣
｢ツナマヨ｣
わんわんと泣きながら棘に縋りつくAを見て、野薔薇もホッとしたように身体を起こした。
初めは泣いてしまっていたが、後輩の前だからと怖いのを我慢していたのだろう。その我慢のフタが弾け飛んで、とうとう溢れ返った涙を零すAはまだまだ幼い。まるで親を見つけた迷子のようで、野薔薇は何だか微笑ましさも感じていた。
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2021年2月26日 12時
