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夜明けのいばら道�� ページ30
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思っていたより面倒なことになっていた。
棘が語彙を絞っている理由を知る由もない外国人はひたすらに眉を寄せて困っている。そして次の瞬間、これはほっとくとマズイし行かんとあかんかなあ、と人見知りを発動させながら唸るAの腕を引き、野薔薇が2人の間に割り込んだ。
｢なにやってんのよ先輩｣
｢ツナマヨ｣
｢ツナマヨじゃないわよ。ったく｣
｢わぁあ、本物の外国人や………………｣
｢Oh！Geisha girl！｣
｢ひっ！｣
野薔薇の後ろからオロオロと顔を出したAの持ち前の白い肌と可愛らしい太眉を見た外国人が感嘆したように言うと、吃驚したAはまた野薔薇の後ろに引っ込んでしまう。
｢109行きたいの？｣
会話の流れで彼の目的を何となく察していた野薔薇は、ライトやらレフトやらという方向を意味する英単語と指差しを駆使して渋谷109の場所を伝える。漸っと目的地への道をしれたと外国人は嬉しそうで、｢カタジケノーゴザル！｣とカタコトの日本語で礼を告げて去っていった。
｢なんか変な人……｣
｢しゃけ｣
｢あのねえ、筆談とかスマホでマップ見せるとかやりようあったでしょ｣
｢すじこ｣
｢…………｣
｢今回ばっかりはしゃあないね｣
棘の言葉を理解している2年生と伏黒や、何となくのテンションでその意図を汲み取っている虎杖と違い、野薔薇は未だに彼のおにぎり語を理解しきれていない。何がなんやらと首を傾げた野薔薇は、はァとひとつため息をついた。
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2021年2月26日 12時
