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────────数刻後。


ユニフォーム(・・・・・・)に身を包んだAと東京校京都校一同は、グラウンドに揃っていた。
そして、何をしているかというと。



「プレイボ━━━━━━ルッッ!」



グラウンドに響く声と、何かを打ち上げる音。


「打ち上げた!」

「西宮まだ走るな!」

「え、なんで?!」


空に弧を描くボールは三輪がで打ち上げたもの。
…………もうお分かりだろう。Aたちは、皆で野球をしている。


「ルール知らないなら先に言いなさい!」

「知ってるよ!打ったら走るんでしょ?!」


そしてさっきからキーキー怒っているのは外野手の西宮と、京都校教師の歌姫。相変わらずわらび餅を頬張るAは、ベンチに座って先程までのことを思い返した。


『僕、ルーティンて嫌いなんだよね』


そう言った五条が何処からかくじ引きの箱を取り出してきて、これを引けと言い出したのだ。交流会は1日目が団体戦で2日目が個人戦と毎年決まっており、2日目の今日は個人戦をやる予定だったのだが、何とも自由人な五条のお陰で、東京校vs京都校の野球大会をやる羽目になってしまったのである。


(これもう団体戦やない?)


そんなツッコミは絶えず、もう諦めた方がいいなと思ったAは只管にきな粉たっぷりのわらび餅を口に運んでいた。


「……………………特級を退けたらしいな」

「え、うん。…いや、東堂と五条先生のお陰っすよ。
ていうかメットいいんすか?」


その間にも試合は続き、バットを持ってホームベースに立ったのは加茂、その後ろに控えるキャッチャーは虎杖だ。


「なんかお話してる」

「しゃけ」


━━━━━━━バスッ!


ベンチからじゃ聞こえないその会話にAが首を傾げていると、会話中にも拘わらず、ピッチャーの真希が虎杖に向けてボールを勢いよく投げつけた。


「ストライッ!バッターアウッ、チェンジ!」

「加茂ォ!振んなきゃ当たんねえぞ!」


最早バットを振る暇すら与えてくれなかった。
野球なら平和に終わりそうだと一縷の望みを抱いていたのだが、そういう訳にはいかなさそうで、わざとらしくそっぽを向いて舌を出す真希の姿に、Aはため息を吐いた。









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作者名:まめこ。 | 作成日時:2021年2月26日 12時

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