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その後、伝票を独占しようとしたけどあっさり阻止され、それでも粘りに粘った結果、割り勘になった。
女の子にお金払わせる訳にはいかない主義の難破くんと伍代くんにひと睨みきかされてビビってたら、大丸くんだけが「じゃー今度飲みモンでもゴチしてくれよ！」と笑ってくれて心が浄化された。バカだけど……いや、バカだからこそ自分の信念にひたむきで、どこまでも真っ直ぐで素直な小学生みたいな子だと思った。
「急に呼び出して悪ぃな」
「楽しかったのでお気になさらず」
夕日の沈みそうな帰り道。ひとりで大丈夫だって言っても、伍代くんは家まで送るって聞かなくて、こんな時間に真っ直ぐ家帰んないといけないとか、それこそ小学生じゃあるまいし。しかも方向逆なのに申し訳ない。
それを伝えると「別にヒマだからいい」って澄まし顔で言うもんだから、わたしも暇だからぶらぶら寄り道して帰りたい、とは言わず、素直に応じた。
「むしろありがとうございました」
「気にすんな」
少し前を歩く伍代くんは相変わらずクールだ。
今日のこと、わたしはものすごく嬉しかったけど、きっと彼にとっては鈍臭い陰キャにちょっと気を遣った程度なんだろう。そういう何気ない気遣いを自然にできる人って凄いなあ。
「……でも、何でわざわざみんなを集めてくれたんですか？」
「何ででもいいだろ。難破が言ってた通りだよ」
そう思うと伍代くんは見掛け倒しじゃなく中身までイケてて、そんな彼がわたしと一緒にいることをますます不思議に思った。
一体なんで？と考えていると必然的に桃花との会話がフラッシュバックして、頭の中の桃花が、その時と同じセリフを吐いた。
『もしかしたらAのこと好きなのかもね』
もしかしてもしかすると、本当にそうなのかも。
何かと気にかけてくれるのも、いつも助けてくれるのも、歯が浮くような言葉を無意識にかけてくるのも。全部『わたしが好きだから』だと思うと妙に納得できた。
……しかし謎は新たな謎を産むもの。今度は単純な謎だ。伍代くんがわたしを好きになる理由がない。わたしみたいな陰キャを好きになるなんて天と地がひっくり返っても、ない。
「あの」
「ん？」
「…やっぱ何でもないです。また明日」
一瞬だけ、聞いてみようかな、なんて血迷ったけど。冷静になったらヤバい。普通に。
これはただの早とちりで勘違いで自惚れだと蓋をして、足早にアパートの階段を駆け上った。
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はるちよ - とても面白くて毎日読み返しています！リクエスト良いですか？！今の五代くんの話が終わったら寂しくなってしまうので、もしまめこさん さえよえれば、五代くんの話を他にも書いて欲しいです。 (11月10日 18時) (
レス) id: b6e7a94813 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2023年11月3日 12時
