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数日後、Aは棘に手を引かれ、もう片手でパンダのふわふわの毛並みを掴んで歩いていた。これから1年生のところへ行くのだ。
「1年坊主にかっこ悪い所は見せらんねえな、どおA、俺かっこいい?!」
「いつもと変わらんで」
「しゃけ」
「えー、気合い入れてたのにィ」
Aたち2年は、近いうちに開催中される『京都姉妹校交流会』に向けて準備中である。
それはその名の通り、京都にあるもうひとつの呪術高専の生徒との交流会……と言うと可愛らしく聞こえるが、2日間に渡って行われる呪術合戦だ。『殺す以外なら何をしてもいい』というルールがあり、これを聞いた時は例の如く号泣した。
「なんで同じ呪術師同士で戦わなあかんのかな…」
「Aはすこぶる平和主義だからなァ、争いごと嫌いだもんねえ」
「しゃけ」
「だって痛いの嫌やもん」
「オイお前ら、駄弁る暇あるならさっさと歩け」
Aたち3人より少し前を歩く真希が苛立ちながらこちらを振り返る。
「1年共が待ってんぞ」
「よォし。棘、A、競走だッ!」
「おかか」
「走るん嫌」
「ノリ悪いなぁもう…………」
即答で断るAと棘に、がっくりと肩を落とすパンダは無視して足を進める。しばらく歩くと、遠くの石段に腰かける2人の生徒が見えてきた。
だが2人とも浮かない顔で、じっと地面を見つめて動かない。…………"あんな事"があったんじゃ仕方ないか、とAがため息混じりに俯くと、そんな気持ちを知らない真希はズンズン歩いていく。
「何だ、いつもに増して辛気臭えな恵。お通夜かよ」
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作者名:まめこ。 | 作成日時:2021年2月12日 12時