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そして、団体戦開始1分前。
『開始1分前でーす。ここで歌姫先生にありがたーい激励のお言葉を頂きます』
森の中にあるスタート地点にスタンバイしたA達は、スピーカーから流れる五条の呑気な声に耳を傾けていた。
『はぁ?!え、えーっと…………あー、ある程度の怪我は仕方ないですが、時々は助け合い的なアレが』
『時間でーす』
ちょ、五条、アンタねえ!と、相変わらずマイペースな五条に振り回される歌姫の怒号が聞こえてくる。
(なんて恐ろしい人や…………あんなん言われたら私、泡吹いて死んでまう)
『それでは姉妹校交流会、
スタ━━━━━━━トォオオオオ!』
『先輩を敬えェ!』
ガガ、とスピーカーの音が途切れると同時、Aたちは一斉に走り出した。
「ボス呪霊、どの辺にいるかな?」
「放たれたのは両校の中間地点だろうけど、まあじっとはしてないわな」
「これ…泣きそう……失敗したらどうするん……………誰か死んだり?!嫌や怖いそんなん」
「心配しなくても誰も死なねえよ」
今にも泣き出しそうなAの額をバチンと弾き、真希が励ます。一方、こちらに向けて走ってくる京都校と鉢合わせになるであろう中間地点に向けて全力疾走するA達の前には、彼らを先導するように走る“2体”の式神がいた。
「お願いやで梅、なんかあったらすぐ言いや」
『ぐげっ』
1体は伏黒の『玉犬』、“梅”と呼ばれたもう1体はAの『小鬼』だ。額から伸びる角、黒く窪んでつり上がった目に、鋭い牙と爪。人間の膝までくらいの大きさのそれは、鬼だが悪魔とも言えるような容姿をしている。Aの言葉にコクコクと頷いた梅は、楽しそうに森の中を駆けた。
「例のタイミングで索敵に長けたA班と伏黒班に分かれる。あとは頼んだぞ悠仁」
「オッス!」
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作者名:まめこ。 | 作成日時:2021年2月12日 12時