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「高専に所属する呪術師の中に虎杖悠仁のような半端者がいるのは由々しき事態だ。交流会以前の問題。加茂家嫡流として見過ごせん」
如何にも気難しそうな口ぶりで、加茂は続ける。
「私たち全員で、虎杖悠仁を襲撃する」
加茂からしてみれば、同じ呪術師を目指し切磋琢磨しあう学生の中に宿儺の器なんて呼ばれる化け物が居るのは許せないのだろう。でも、京都校全員で一斉に虎杖を叩くと彼は言うが、そう簡単にいく話ではない。
「待って、虎杖くんと狗巻くんが一緒にいたらどうするの?」
彼らにとって『呪言』という力を持つ棘は脅威でしかなかった。彼を前に雁首を揃えるのはリスキーだと西宮は言う。
「いや、あれは来るとわかっていればそこまで怖いものじゃない。それに、彼はきっと蕨美Aと行動を共にする」
棘の呪言は対呪霊に特化したもの。対策さえしていけば怖くはない。寧ろ、最も怖いのはAの方だ。
「何かに呪力を込める術師は山ほど居るが、彼女の場合は込めているもののレベルが違うからね。そもそも陰陽術は悪霊を祓うためのもの。それだけで呪霊を祓うことだって難しくはない。しかも彼女はそこに呪力を流して更に強化させている。
───俺たちを皆殺しにするくらい、彼女にとっては容易い事だろう。だが………………」
「それは理屈での話でしょ?」
ペラペラと話す加茂に痺れを切らした真依が溜め息混じりにその言葉を遮った。
「Aにあるのは理論上の実力だけ。あんなの頭脳も度胸も冷静さの欠片もありゃしないただの雑魚よ。
私たちを前にしても泣きながら尻尾巻いて逃げ出すに決まってるわ」
「…………………まぁ、そういう事だ。というか人の話を遮るな」
その言葉に真依は、高い鼻をツンと逸らしてそっぽを向く。そんな瞳には何が写っているのか、彼女が何を考えているのか。それは誰にもわからなかった。
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作者名:まめこ。 | 作成日時:2021年2月12日 12時