episode #57 ページ9
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｢患者を安全な場所に避難させたいから、仲間の死体の対処お願いできるかな？｣
死体から解放され、やっとの思いで起き上がった京夜がそう言った。それに2人が黙って頷くと、｢ありがとう｣といつものように笑う。
｢─────援護部隊！速急に患者の避難と二次被害の回避に努めろ！｣
リーダーである京夜がそう言えば、その場の空気が一気に張り詰める。『鶴の一声』とはまさしくこの事を言うのだろう。そして、羅刹学園の生徒たちは待ってましたとばかりに各々の武器を構えた。Aも懐から大量の刃物を取りだし、自身の腕を切りつける。
｢死人をもう一度殺すなんて気分悪いけど……流石にゾンビに殺されるのは嫌だ｣
ピシャ、と飛び散ったAの血に触れた死体たちが次々に呻き声を上げて倒れ始めた。頭を潰されない限り、どんな強い毒でも死ねない死体たちは、ただただ襲い来る痛みに苦しそうに悶えている。そんな姿に、Aは空っぽの心がぎゅうと押し潰されるような感覚に陥った。
(……鬼の敵は桃太郎でしょ。なのに何で味方どうしで殺しあってんの？)
それに、そこら中に血だらけになって転がっているのはAたち鬼を守るべく立ち上がった戦士たち。
そんな彼らを殺し、果ては命懸けで守ろうとしていた鬼を襲わせるだなんて、つくづく唾切はクズだ。
(……だから嫌なの。鬼とか桃太郎とかいう身分が)
過去に鬼と桃太郎がどんな戦いをしたのかも、鬼がどんな酷いことをしたかも、Aたちは知らない。まずそもそも関係ない。なのに、ずっとずっと先祖に鬼がいるというだけで、桃太郎の血を引いているだけの一族から命を狙われる。
(血なんてなけりゃいいのに。そしたらみんな幸せになれた…………少なくとも“お母さん”はあんな惨い死に方しなかった)
只管に自分を傷つけ続けるAが何を思って刃を手にするのか、感情を失った彼女がどんな生き様を歩んできたのか。そして、そんなAが今、どんな思いで味方に毒を浴びせているのか。それは誰にも分からない。
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レン(プロフ) - 桃源暗記の夢小説少ないんでめちゃくちゃ嬉しいです！しかもお話も面白くてもう神かなんかですか?!これからも無理せず更新頑張ってください!応援してます！ (2022年1月4日 22時) (
レス) id: 9afc0ca98b (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 思わず一気読みしてしまいました！とっても面白いです、更新も無理ない程度に頑張って下さい！ (2022年1月3日 0時) (レス) id: 16a4fd6cb5 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - 久々に更新嬉しい！ (2021年11月17日 18時) (レス) id: bb356cf189 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - ヒロアカでまめこさんに出会いまして、桃源暗鬼も書いてる！ってなって来ました！これからも引き続き更新頑張って下さい！ (2021年9月12日 11時) (レス) id: 1c4434e42e (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - もうほんと最高です (2021年8月20日 22時) (レス) id: 75eebcd608 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2021年3月31日 19時
