episode #88 ページ40
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写真には、幼いAと、彼女とよく似た黒髪と瞳の母親らしき女性、隣に立つ男と少年も同じ黒髪だが、女性陣ほど綺麗ではない。Aは母親似、少年は父親似というところか。
｢兄妹か？似てねえな｣
｢そりゃ似るわけないよ。血繋がってないから｣
｢血が繋がってない……って？｣
｢義理の家族｣
｢そういう事じゃねえよ｣
花のように眩しく笑う写真のAと違い、目の前のAは沈んだ顔をしている。｢返してよ｣と半ば強引に時計を奪おうとするが、迅は何を思ったか、時計を持った手を上に挙げた。ギロリと彼を睨めあげたAは、｢何があった？｣とでも言いたげな彼の視線を察し、ため息混じりに呟く。
｢実のお父さんは私が産まれる前に病気で死んで、父親がいなくて寂しい思いしないようにってお母さんが再婚した。そんでその男の子は義理の父親の連れ子。
同い年だけど誕生日が少し早いから私にとって義理の双子のお兄さん。……ねえもういいでしょ？返して｣
｢……悪ぃ｣
奪い返した時計をポケットに突っ込み、Aは忌々しそうに椅子に腰かけた。思い出すだけでも吐き気がする、あの2人のことを思い出したのだ。
｢昔は優しいし私のことほんとの妹みたいに可愛がってくれる良いお兄ちゃんだったよ｣
｢“昔は”｣
｢………………そう、“昔は”。｣
ポケットから出してきた時計をぎゅ、と握りしめ、俯くAがどんな顔をしているかは測りかねない。だけど、その声はひどく震えていた。まるで何かに怯えるように。彼女の心の中に広がる深い深い闇が、その表情にまで反映されていく。
｢……話せよ。仮にもルームメイトが悩んで仏頂面決め込んでたら気分悪い｣
｢本当に…良い人か悪い人か分かんないね、君は｣
Aが机に突っ伏すと、形のいい唇から少しづつ、彼女の抱える物語が紡がれていった───
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レン(プロフ) - 桃源暗記の夢小説少ないんでめちゃくちゃ嬉しいです！しかもお話も面白くてもう神かなんかですか?!これからも無理せず更新頑張ってください!応援してます！ (2022年1月4日 22時) (
レス) id: 9afc0ca98b (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 思わず一気読みしてしまいました！とっても面白いです、更新も無理ない程度に頑張って下さい！ (2022年1月3日 0時) (レス) id: 16a4fd6cb5 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - 久々に更新嬉しい！ (2021年11月17日 18時) (レス) id: bb356cf189 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - ヒロアカでまめこさんに出会いまして、桃源暗鬼も書いてる！ってなって来ました！これからも引き続き更新頑張って下さい！ (2021年9月12日 11時) (レス) id: 1c4434e42e (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - もうほんと最高です (2021年8月20日 22時) (レス) id: 75eebcd608 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2021年3月31日 19時
