episode #63 ページ15
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その頃、長い通路を駆けていたAは、迅の腕をちらりと見て眉を下げた。
｢手、平気？｣
｢すぐ治るって言ったろ。少し痛いだけだ｣
｢…………そう｣
｢それがどうした｣
言葉を濁らせて俯くAの瞳は暗く翳り、長い睫毛が更に濃い影を落とす。どうした、と聞かれたAはふっと視線を横に逸らし、｢ぶっちゃけ誰が死のうがどうでもいいんだけどさ｣と呟くと、こう続けた。
｢なんで私、こういう時に限って無傷なのかなって思ってね｣
｢………………運が良かっただけじゃねえのか｣
｢知らないよ。私、運とか占いとか信じないタチだし。
……ってそうじゃないよ。私、死にたいのに死ねなくて。なのに周りの人ばっかり傷ついてくの、割と嫌なんだ｣
君らと私の立ち位置が逆だったら良かったね、とAは言い、笑う。そんな不器用な笑顔を浮かべるAを宥めるでもなく、迅は静かに言い放った。
｢死ぬか死なないかなんて自分次第だろ。それと俺たちの怪我は関係ないし、お前が気に病む事じゃない｣
｢…………皇后崎くんって意外と優しいんだね｣
｢意外とって何だ殺すぞ｣
｢ほらやっぱり優しい｣
殺してくれるんだー、といつもの機嫌を笑顔を取り戻したAはへらへら笑いながら、前方に見える分かれ道を指さした。
｢他に敵がいるかもしれないし、私はこの近辺を見てくるよ。ついでに無人くん達も探してくる｣
｢ああ。頼んだ｣
迅は生徒たちが集まる部屋の方、Aはそれと逆の通路へ駆け込む。壁に反響する足音が半分になり、Aは1つため息をこぼした。
｢……さてと。対敵したら死ねるかもだし、頑張ろう｣
壁に沿うように取り付けられた部屋の扉を片っ端から開けていく。しかしどの部屋にも誰かがいる気配はなく、5つ目の部屋から出たAは、忌々しげに頭を搔いた。
(他に人がいる様子もない。ここに来てる桃太郎はアイツらだけ…………って事か)
外に出られる通路を塞がれているとも知らず、戦闘部隊として外にいる無陀野に状況を説明する為に再び駆け出すA……だったが、
｢！｣
1つの部屋の前を横切ると、何かの気配を察した。
その気配に慌てて振り返るがもう遅い。得体の知れぬ布を口元に押し当てられ、Aは呆気なく脱力した。
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レン(プロフ) - 桃源暗記の夢小説少ないんでめちゃくちゃ嬉しいです！しかもお話も面白くてもう神かなんかですか?!これからも無理せず更新頑張ってください!応援してます！ (2022年1月4日 22時) (
レス) id: 9afc0ca98b (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 思わず一気読みしてしまいました！とっても面白いです、更新も無理ない程度に頑張って下さい！ (2022年1月3日 0時) (レス) id: 16a4fd6cb5 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - 久々に更新嬉しい！ (2021年11月17日 18時) (レス) id: bb356cf189 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - ヒロアカでまめこさんに出会いまして、桃源暗鬼も書いてる！ってなって来ました！これからも引き続き更新頑張って下さい！ (2021年9月12日 11時) (レス) id: 1c4434e42e (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - もうほんと最高です (2021年8月20日 22時) (レス) id: 75eebcd608 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2021年3月31日 19時
