第十話 M side ページ10
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翌日指定された時間に店に出向くと個室に通され、そこには既にニカの姿があった。
『宮っち久しぶり!2年ぶりだね、相変わらずかっこいい。元気してた?』
「うん、まあ。ニカも元気そうで何よりだよ。」
2年ぶりでもニカが相手なら会話も弾む。
しばらくあれやこれやと世間話をしたのち、頼んだ料理が運ばれると、熱々に煮えたぎった麻婆豆腐を胃の中に流し込んだ。
『そろそろ本題に入りたいんだけどいい?』
「もちろん。」
ニカは生ビールを流し込むと、話を切り出した。
『俺の友達に藤ヶ谷ってヤツがいるんだけど家めっちゃ金持ちでさ、屋敷?みたいなとこに住んでるんだよね。それでその家で雇われてた使用人がこぞって辞めちゃったみたいでさ。人足りてないみたいで募集してるらしいんだけど…
宮っち今働いてたりする?良かったらどうかなって思ってさ。』
俺の事を心配しての事だろうが、よりにもよって見ず知らずの家の使用人になるなんて御免だ。それに誰かにこき使われるなんて俺の性には合わない。
「…ごめん。俺はいいや。話持ってきてくれたのは嬉しいけど、遠慮しとく。」
『えー、まじかぁ…』
眉を下げがっくりと肩を落とすニカ。
ニカが俺にどんなイメージを抱いていたのかは知らないが、俺が使用人に向いてると1ミリでも思っていたのなら笑っちゃうよね。
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作者名:みやたま | 作成日時:2021年10月16日 0時