毒林檎 (ページ4)

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第四話　M side ページ4

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高校を卒業してからは地元を離れ、都内にある有名企業の営業マンとして働き始めた。

成績はそこそこで、特別褒められる事も無ければ叱咤されるといった事もない。

ただ与えられた仕事を黙々とこなし、それなりにやっていたつもりだった。

けれどある日突然、出社する威力が失せてしまった。

これといった理由があるわけではないのに、身体が思うように動かず結局俺はその日づけで会社を辞めた。

それからはやりたい事も見つからず、求人広告を見ても惹かれる仕事は一つもなく、結局仕事探しすら放棄してしまった俺。

けれど貯蓄は働いていた時にまわしてあったので困る事は何もなかった。

22で会社を辞めて今日で2年になる。

偶には外の空気を吸いたくて何日かぶりの外出をした。

ただ無我夢中に歩き続けていると、よく行く海の近くまで来ていた。

歩き疲れたので砂浜に腰を下ろすと、海に向かって歩み進めている人影が見えた。

…只事じゃない。

その人が歩みを止める事はなく、恐れるどころかどんどん先に進んでいく。

背筋が凍りつくような感覚の中俺はすぐさま海に向かって走った。

その人の元へ辿り着いた瞬間、冷え切ったその腕を掴み砂浜へと急いだ。