毒林檎 (ページ1)

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第一話　T side ページ1

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俺の視界に映る景色は、いつも白く霞んでいた。

およそ17000人に1人と言われている「アルビノ」という遺伝子疾患を患っている自分は、

生まれつき皮膚や目、髪に異常な色素欠乏があり、視力も弱く日光に敏感でほとんど外に出られない。

髪は銀色、瞳の色彩は灰色に近い青。

皮膚は色白なんて言葉じゃ済まされないほどに真っ白で、

アルビノの俺は、小さい頃からずっと好奇な目で見られ続けてきた。

おまけにこの病気は見た目だけじゃなく、肺炎や出血が止まりにくいなどといった合併症も引き起こす。

この病気と向き合い続けて23年。

終わりの見えない暗闇の中を彷徨い続けてわかった事。

生きていても良い事なんてない。

こんなに苦しい思いをするくらいなら、
消えて灰になってしまいたい。

今までお世話になった里親に置き手紙を残して向かった先は、遠く離れた知らない街の大きな海。

苦しい思いをするのはこれで最後。

もう早く楽になりたかった。