13. ページ14
「答えてくれたら、ここから出してやる」
その後、何度も幽霊族の男(水木がゲゲ郎と名付けた)がここに来た理由を探ろうとしていたが、ことごとく無視され、とうとうそんな叶えられるはずもないことを言い出した。
ゲゲ郎とやらはそれを信じ、まんまと口を開いた。
何年も前に生き別れた妻を探しに来たと男は話した。
妻____同じ幽霊族ということか。最近、幽霊族の数はだいぶ少なくなり、突然姿を消したなんて話も何年か前に聞いていた。夫であれば、不安になるのも仕方ないか。
水木はその話を聞き、私たちが追っているMとは関係ないなと自己完結すると、さっさと浴衣に着替え、床に入ってしまった。
ゲゲ郎は約束を蔑ろにされたことが気に入らない様で、牢の中から水木を睨んでいた。
「お前も早く寝るんだぞ、
『はい、そうさせて貰います』
私も返事をすると、用意された浴衣に着替え始める。
「お主は、何故その男の肩を持つ？それほど魅力のある男とも思えんが」
ゲゲ郎に話しかけられ、水木が眠っているのを確認してから口を開く。
『あの者のことは、私だけが知っていれば良い。それにしても、この村の人間も妖怪もどこかおかしい』
「ああ、嫌な気配じゃ。妻よ、無事でいてくれ」
そう祈るように呟く男を横目に、帯をしっかりと縛る。
『明日、お前をそこから出すように水木と掛け合ってみるさ。私達の言う事を聞くかはわからんがな』
私も床に入ろうとするが、横で水木が昨日の様に魘されているのが見え、また額に手を置く。
「悪夢か、」
『戦争上がりでな、優しい此奴はいつまでも戦争で死んでいった者達に負い目を感じて生きている。短い人生だと言うのに、何と生きづらい』
水木の顔に視線を落とせば、まだ眉を寄せ、額に深く皺が刻まれていた。まだ若いから良いものの、歳を食ったら額の皺に悩まされそうだ。
「お主も、妻の様に人間を愛しているのだな」
『愛してる？』
私はその言葉がどうにも引っかかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 371人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
リノ(プロフ) - 上手く言語化できなくて申し訳ないぐらい神作見つけちゃったよ…どうしてくれんのよ大好きですBIG LOVE。作者さんの原作リスペクトも伝わってくるし違和感もないのホントうま杉田玄白でハゲそう。コメント250字しかできないのが辛いよ。更新全裸待機しときますね！ (3月26日 3時) (
レス) id: cc90a56098 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - やばばばばばめちゃ好きです… (1月4日 18時) (レス) @page18 id: a05e9c9f42 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：れもねーど
| 作成日時：2023年12月19日 21時
