猪くんと帽子のオッサン ページ14
・
どうやら義勇さんは今日、婚約者の方と食事に行くらしい。
義勇さんがその人に気がないってのも分かってるのに、やっぱ胸痛いなぁ。
ずっとモヤモヤしてて、そのモヤモヤを晴らすためによくお世話になってる居酒屋に来た。
「あ、チョコ女じゃねえか!!」
「猪くんどーも!とりあえず生一つください!」
ここで働いてる猪くんこと伊之助くんは私と同級生で、通うたびに仲良くなっていって今では当たり前のように話す仲だ。
「1人で来るの久しぶりだな!俺はわかる!チョコ女は俺に愚痴を吐きに来たんだろ!」
猪くんがドヤッて顔で言うから思わずわらってしまう。
「流石猪くん。じゃあ話聞いてもらっても良いかな?」
「任せろ!」
猪くんはカウンターの所でお皿を洗いながら話を聞いてくれる。
義勇さんとのこと、炭治郎のこと、全部話した。
猪くんは「ほーん」と言って目を輝かせた。
「俺にはわかる!今のお前はそのシャチョーとやらに夢中だ!」
「ははっ、そうなんだよね。あー会いたいよ。」
お酒も回ってるからか、それとも猪くんが喋りやすいからかは分からないけど、なんでもぽろっと言っちゃう。猪くんは「会えばいいだろ!」って言って私に思いっきり指をさす。
「そ〜もいかないんですぅ〜!!」
お酒をガバッと飲むと、猪くんは「変だな!」と言っておかわりをついでくれる。
「にしてもそこのオッサンはどうしたんだ?」
猪くんが私の一つ隣の席に座ってなんかブツブツ言ってる人に目を向け、私もつられて見る。
「おい、帽子のオッサン大丈夫か?」
「オッサンだと…?オッサンじゃない、お兄さんだ。」
「その発言がオッサンなんだよ。で?お前はどうしたんだ?」
猪くんはこの店に来る困った客を放っておけないらしくて、ズカズカと人のプライベートに入る。
それがとても良いところで、彼もまた猪くんに助けられるのだろう。
「ハァ。娘が婚約したのだ。見合いをしたのだが一目惚れしたらしくてな…。俺は反対してるんだ。でもアイツときたら何も俺の話を聞かん。」
人を殺しそうな目でそうやって語る。そんだけ愛してるんだな、って何だか納得した。
「わかります。私も好きな人に婚約者がいて、好きな人がその婚約者のこと好きじゃないって分かってるのに辛くなります。よかったら、語りませんか?」
私は一つ席をずれて、彼を見る。彼は一瞬迷ったが、「いいだろう。」とグラスをコツンと合わせてくれた。
・
324人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
にぃ - とても面白いしキュンキュンしました。これからも面白い作品作ってください。 (2020年8月23日 21時) (レス) id: e653c86382 (このIDを非表示/違反報告)
陽渚(プロフ) - 面白かったです!他の作品も読ませてもらってます!頑張ってください (2020年8月4日 22時) (レス) id: 0a67e21c60 (このIDを非表示/違反報告)
ぬん(プロフ) - Regulusさん» ありがとうございます!!そう言っていただけると心からかいてよかったなぁと思います!次回作も是非見てみてください!これからもよろしくお願いします! (2020年4月4日 22時) (レス) id: 2ea5b93c28 (このIDを非表示/違反報告)
Regulus(プロフ) - 完結おめでとうございます(*´▽`*)とても楽しませて頂きました!次回作も楽しみに待っていますo(*⌒―⌒*)o (2020年4月4日 14時) (レス) id: 9c91fd3a1d (このIDを非表示/違反報告)
ぬん(プロフ) - 月花さん» ありがとうございます!そう言っていただけると書いてよかったなぁと思います!本当にありがとうございました!! (2020年4月2日 23時) (レス) id: 2ea5b93c28 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぬん | 作者ホームページ:http://urana
作成日時:2020年3月27日 22時