肆話 ページ5
目の前の彼は酷く怯えているようだ。
体を小刻みに震わせて、目からは涙がどんどんと溢れてる。
「そんなに怯えないで。私は何もしないから。それより!怪我の方はどお?もうどこも痛くない?」
私がぐいっと距離を縮めようとすると、彼はその分私から離れてしまう。
それを繰り返していると、彼がもう1人の妖狐の体に当たる。
?「ぐへっ」
?「アアアアアニキ!なんかっ、ひと、ひとが」
?「人?…あっ本当だ。どうも、こんにちはー!」
もう1人の方が起き上がって、私に向かって挨拶をする。
元気なのは良いことだ。
?「何ふつうに挨拶してんのさアニキ!」
「こんにちはー!」
私が挨拶し返すともう1人の方が怯えてもう1人の後ろに隠れてしまった。
うむ。
名前知らないとややこしいな。
「ねぇねぇ。あなたたち名前は?何て言うの?私はね、暁月紗凪っていうんだ。よろしく!」
ひなた「紗凪ちゃんっていうだねー。俺は、葵ひなただよ!こっちは、弟のゆうたくん!」
ゆうた「アニキなんで人に名前教えちゃったの!」
ここから兄弟げんかが始まる。
と言っても、ゆうたくんが一方的に意見を言っているだけだけど。
「仲のよろしいことで」
ひなた「でしょでしょ〜」
ゆうた「よろしくない!」
…けんかする程仲が良いっていうよね。
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作者名:ミル&海梅 x他1人 | 作成日時:2016年2月20日 15時