生きたい彼女と死にたい彼。 (ページ8)

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「体調はもう平気なの？」

「ちゃんとノート取ってあるから！」

「寂しかった〜」

あれから15分程待って、並んで帰ってきた3人を木の影から呼び止めた。

あくまでも自然に、やっほ！と。

各々驚いた顔はしたけれど、

すぐにいつもの笑顔を見せてくれた。

3人共今からお見舞いに行こうと思ってたんだよと言ってもらえて、

私はどれだけ恵まれているのだろうと目頭が熱くなった。

間に挟まれながら4人並んでいつもの帰路を歩いた。

歩いて、

歩いて、

家の近くまで送ってくれて、

いつもみたいに明日ね！と言って別れた。

話せなかった。

楽しい雰囲気を壊すのが怖かった。

まだ3人と居たかった。

『ただいま…』

玄関でポツリと吐くと短大から帰ったばかりであろう姉が、

スリッパをぱたぱたと鳴らしながら2階から降りて

私のもとまで駆け寄った。

姉はいつも味方で、

私が嬉しい時も楽しい時も悲しい時も悔しい時も、

全部全部口に出さなくてもわかってくれた。

気がつけば姉の腕の中にいて、

私の目から零れる涙を胸で受け止めてくれた。

「お姉の心臓渡せるなら、今すぐにでもあげたい…。
無理して話すこと無い、苦しいのなんて自分にしか分からないんだから。
それがいくら大切な友達でも。…ね？」

頭上から降ってくる優しい声に

私の御世辞にはきれいとは言えない嗚咽が混じって、

玄関で木霊する。

私は、

死にたくない。