生きたい彼女と死にたい彼。 (ページ6)

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「これ。って言ってもなんだかわかんないと思うけど」

アイスコーヒーを地面に置き、

左の袖を捲りあげるとぐるぐるに巻かれた包帯が露わになった。

『喧嘩、？』

「もし喧嘩なら拳でしょ？………死にたくてやった」

簡単なその一言で大抵の人は察しがつく。

包帯をするすると解くと、

大きめの絆創膏が一つと見慣れた絆創膏が1つ。

その間から顔を出す瘡蓋を張って乾いた傷口。

痛々しくすぐに目を逸らしてしまった。

正直反応に困る。

うまく言葉を選ばないと、その人の心を傷つける事があるという事くらい私でも知っている。

それに、会って二日目の人間にその秘密を晒す事に迷いはなかったのか。

「あ、ごめんちょっとぐろい？昨日の夜親に見られてさ。
酔ってたくせに救急車なんて呼んで、ホント大袈裟だよね…」

『じゃあ今日休んだのは…？』

「体操着着なきゃだったから。
包帯なんて皆見逃してくれる訳無いでしょ？」

温かい時期になってくると男子は基本体育は外で行う。

そうなると必然的にみんな半袖になるし、

先生からも身体の熱を逃がすのに半袖になるよう促される。

女子は焼けたくないからと脱がない人も多いけれど、

男子の中ではそうも行かないらしい。