大胆 ページ27
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あれから二週間。
「ああ!!ゆゆ式じゃん!!好きなの!?!」
『さ、佐久間くんには及ばないけど…まあ……』
「佐久間うるさいって」
『大丈夫だよ……多分ね。というかさ、』
「「ん?」」
『なんで居るの?』
体調が優れなくて再び学校を休んだ平日。
部屋の勉強机で呑気に小説を読んでいた所に姉が来て、
「イケてるボーイ達がお見舞いに来たよ。
髪を整えるんだな」
と、ちょっと鼻に付く口調で言ってきた。
呆れて返答をする余裕もなく
鏡を見ながら髪を整えると、
元気!?と誰よりも元気な人と、
お邪魔します…と家出から帰ってきたような大人しい人がふたり、
私の部屋にのこのこ入ってきた。
それがさっきの出来事。
そして今ふたりは仲良くカーペットの上に座っている。
「だって阿部ちゃんやっと連絡付いたと思ったらズル休みだよ!?
Aっちと叱ろうと思ってさ!?そしたら休みだって言うから
お見舞い行くのに家教えてもらってきた!」
『あぁ、そう…』
「いや、音信不通になろうって思ったわけじゃなくてさ、なんかその……」
佐久間さ…佐久間くんのマシンガントークの横で
腕を擦る阿部くんが目に入った。
きっとまた前と同じ事をしたのだろう。
蝉がけたたましく鳴いてると言うのに長袖だ。
前髪に隠れた額の痣も気になる。
佐久間くんは気がついてないけれど。
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作者名:chirua | 作成日時:2022年8月7日 17時