生きたい彼女と死にたい彼。 (ページ23)

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「レディーって難し〜！」

「大変だったね、でも正直俺も責任感じるけど…」

『ふたりは何も悪くないよ。寧ろ感謝してるし…』

「壁に耳あり障子にメアリー！！」

「佐久間うるさい」

イツメンに疎外されても尚、

ふたりがいてくれるから良いやと思ってしまう自分もいた。

実際今グループ通話をしていて心が落ち着いている。

佐久間くんのどこからともなく湧き出て来る

源泉掛け流しの元気にとても助けられている。

「実はね！佐久間さんも阿部ちゃんと秘密交換してるんだ〜」

『え、そうなの？』

突然そう言い放った佐久間くんに根掘り葉掘り…

佐久間くんも私同様、一人でいたときに

阿部くんから秘密交換を申し出てこられたんだそう。

そうなると阿部くんに対する疑問が増えていくばかりだけれど…

「でも佐久間とAちゃんに教えてる秘密それぞれ違うからね、
お互い喋らないように」

やはり思考が読まれているかの如く、釘を刺された。

………いや貴方私の秘密佐久間くんにぶちまけたんだよね？

死にたいと思ったことはないのかと問われた時、

正直なんでそんな事を言うんだと一喝してやりたかった。

私はこんなにも生きたいと願っているのに、

死にたいだなんて贅沢過ぎる考えだと。

でも今思えば、それは違うのかもしれない。

死にたい人からしたら生きたいと思う事の方が贅沢なのかも。

人間はきっと、産まれてから死ぬまで、

いや死んでしまってからもないものねだりをする生き物だ。

生きたい私は死ぬ運命があり、

死にたい彼は生きる使命があるように。

頭脳も身体も容姿も発想も、

時間も金もモノも人脈も、

生命も。

どこかで誰か必ずないものねだりをしている。

一生他人と比べながらこの世を徘徊していく。

そんな私は、

正常に機能する心臓がほしい。