生きたい彼女と死にたい彼。 (ページ21)

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そう言えば、と思い出して見たスマホには

無数の不在着信とLINEとSMSの通知。

ここでまだ7時になったばかりということに気が付いた。

夏は日の出が早い。

"A！既読だけでもつけて！"

"なにがあったの"

"いなくならないで、"

3人のLINE、不在着信合わせて49件。

イツメングループにも個人にも送られてきていて、

今まで話せていなかったことを深く後悔した。

"体調大丈夫？"

"阿部ちゃんから聞いたよ。ムリはダメだよ"

ふたりからも個人のメッセージが送られてきていた。

一言体調を気遣ってくれる阿部くんと、

心配してくれる佐久間くんと。聞いたって余命宣告の事かな、？

夢で見た光景がふと浮かんで、

もしかしたらあれは現実(リアル)だったのかもしれないと思った。

帰宅後すぐに返信してくれた阿部くん達と、

初めて電話をした。

「え！凄い！カメラオンオフできる！！」

「佐久間のターンじゃないって」

「Aちゃん知ってた！？凄くない！？」

「さくまあ？」

初めてLINE以外でグループ通話をした。

しかも異性と。

顔を写しながらもできるみたいだったけど、

3人ともカメラオフ。

佐久間くんはちょいちょい遊んでたけど、

いつものテンションでいてくれたからこそ

少し救われるものがあった。

『ごめんね、変に心配かけて』

「阿部ちゃんがおっかない事言うんだもん。
佐久間さん焦って質問攻めにしちゃったよ」

「だって午前だけ病院って言ってたのに
夜になっても返事ないから…。俺も焦って病気の事
佐久間に話しちゃった…ごめんAちゃん…」

一昨日寝る前にちゃっかりアイスコーヒーを

奢ってもらったことを思い出してもやもやしてしまったから、

お金を渡すという話を阿部くん個人に送っていた。

もし通学中にあったら受け取る。

会わなかったら大人しく奢られて？と言われて、

午前だけ病院だから無理じゃん。

という話をしていた。

『ううん、全然大丈夫だよ。
まださ、いつもの友達に話せてないから、
状況把握してくれてるふたりと話せて少し気が楽だよ』

20分程度の電話を終了して思い返すは夢の事。

先生に迫る3人の風景。

あれが現実(リアル)だとしたら、

休みがちな私の事を先生に聞きに行ったところを

先生が俺からは話せない。

と言った場面だろうか。

あぁ、心が重い。

生きたいって思う事がこんなに辛いだろうか？